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南スーダンPKOに派遣される自衛官と政治家と…

2011/11/04 12:03

 

 

 本日は2日の自民党外交・国防合同部会での南スーダンPKO(国連平和維持活動)への自衛隊施設部隊派遣に関する議論(フルオープン)を聞いて、感じたことを少し記します。非常に重要な問題を内包すると思われるのに、あまり話題になっていないと考えるからです。

 

 すでに一川保夫防衛相は1日に、自衛隊に派遣準備指示を出していますが、この南スーダンPKOに関する利点と意義としては

 

   国際貢献という大義。新独立国の国づくりを助ける人道的な意義

   スーダン独立に役割を果たした同盟国、米国との連携

   南スーダンの石油資源への今後の採掘・輸入への道筋作り

   すでに部隊を派遣している中国などに追いつき、追い越す

 

……などがありますね。ただ、一方で、菅政権とそれに続く野田政権がろくな議論を経ずに「拙速」にことを進めているため、多くの不備な点や、疑問点も残されています。たとえば

 

   正当防衛や緊急避難時に限る国際基準に満たない武器使用権限しか与えられない自衛隊(現地の反対勢力から活動を妨害されても警告射撃もできず、襲撃された他国部隊の援護・救護に駆けつけることもできない)は、十分に安全を確保し、他国の信頼を得て活動できるのか

   自衛隊の安全のため活動地域は首都ジュバとその周辺とされるが、国連はさらに他地域での活動を要請してくる可能性がある

   同時に、首都ジュバでアスファルト舗装ですらない砂利舗装をするだけなら、何も自衛隊でなくても民間企業やNGOでもできる

   300人超ぐらいの施設部隊でできることなどたかがしれている(この300人は現地で宿営・生活するための警備要員や調理担当、医官らも含む)

 

……などです。細かいことを言えばほかにもいろいろありますが、ともあれ、こうした意義と疑問点が今回、国会をはじめ与野党で十分論議されたとは、誰も言えないだろうと思います。以前のエントリで書いた通り、現在の与党・民主党自民党と違ってこの手の議論は密室で行うか、トップダウンで決めるので、余計に報道される機会が少なかったということもあるでしょう。

 

 政府は一応、3回にわたって現地調査団を派遣して「治安は問題ない」という結論を出していますが、行った先はジュバなどごく限られており、どうも心許ないという印象があります。一川氏は記者会見などで、事務方が用意した想定問答集のうち、「危険性」を指摘した部分は省いて答弁していたとも聞きます。

 

 ある陸自幹部は私に「われわれ自衛隊はどうせ政治や外交の『道具』だと分かっているが、どうせ行くならできるだけのことはしてからにしてほしい」と語っていました。野田政権が今回、あまりに「派遣の結論ありき」で慎重論や疑問に耳を貸そうとしない様子がありありだからです。

 

 で、件の自民党合同部会でも、冒頭、今津寛国防部会長はこんなあいさつをしました。

 

 「ある有力な自衛隊OBは『今回は覚悟している。今までのPKOで自衛隊の人命に犠牲が出なかったのは奇跡的だったが、今回はそれが起こりえるという予感がしてならない』と言っていた。今回は、そういうことを含みながらのPKO派遣だ」

 

 また、部会では、複数の議員が関係する外務省内閣府防衛省などからの事前説明が少ないか遅かったことへの批判が出ていていました。特に自衛官としてイラクに派遣された経験を持つ佐藤正久参院議員がこう語っていたのは印象的でした。

 

 「このくらいの人数では、(ジュバの人々にとって)日本の自衛隊が来て町が変わったという印象はない。現場がきついのは、期待が失望に変わり、反感に変わることだ。役務を募集したイラクのときと違い、自衛隊は現地の雇用を増やすこともないし、石を投げられますよ!

 

 ただ、部会では数々の疑問は示され、野田政権の拙速ぶりへの指摘もあったものの、「PKOに出すこと自体はいいことだ」(川口順子元外相)といった雰囲気もあり、特に激しい反対論は出ませんでした。小野寺五典外交部会長も「今回、自衛隊がやることはODA等で民間ができることだという認識をわれわれは共有した」と皮肉な口調で述べるにとどまりました。

 

 まあ、自民党としても自分たちが政権をとっているときから国際貢献は進めてきたわけであり、とりあえずお手並み拝見という気分もあるのだろうとも思いました。野党となると、政府のやることにはどこか突き放した姿勢になるのだなとも。

 

 ところが、この部会後、出席議員の1人が同僚議員にこう話しかけているのが聞こえ、ああやはりこの計算の仕方、頭の巡らせ方は政治家だなあと改めて感じた次第です。

 

 「まあ、派遣して死人が出たら、政府は持たないよ……」

 

 南スーダン派遣が失敗したらしたでそれでいい、われわれが政権を奪還するチャンスになるというニュアンスでしょうか。話しかけられた側は、近くに記者がいるのを警戒してか返事をしませんでしたが、やはり自衛官が1人の人間というよりも「道具」として扱われているかのように感じ、少々気分が悪くなったのでした。

 

 常に、何事にあたっても政治的利害得失、また政治的利用法を考えてしまうのが政治家というものの性ではあるのでしょうが。

 

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久しぶりに小沢不動産問題について書いてみる

2011/11/03 09:23

 

 

 本日は昨日に引き続き、竹島問題に関するエントリとする予定でしたが、資料を職場に置き忘れてきたので、実に久しぶりに民主党小沢一郎元代表の不動産問題を取り上げようと思います。このブログの昔からの訪問者の方はよくご存知のことですが、私は以前、この問題にかなりこだわっていろいろな角度から取り上げてきました。

 

政治家の資金管理団体が都心などに特段必要もないのに10物件以上も不動産を買い漁り、しかもそれが小沢氏が元気な間はすべて資金管理団体の経費で維持され、不慮の事態が起きれば法律上、小沢氏の親族が相続することになる----という構図が、いかに合法的であろうと納得がいかず、まさに小沢氏という政治家のあり方を象徴しているように思えたからです。

 

小沢氏の政治資金問題の本質は、法の網の目をかいくぐろうと法の精神に反していようと、とりあえず形式的に合法的だったら何でもいいじゃないかという、ある種のニヒリズムにあるように感じています。実際、過去のエントリで紹介したように、ご自身でもそんなことを語っていますしね。

 

ですが、実際にこの問題が事件化され、さらに裁判も始まるに至って、私がわざわざここで論じる必要もないだろうと考え、小沢氏自身にも特に関心がなくなったこともあり、久しく取り上げていませんでした。いかにつまらない政治家であっても、強い権力や影響力を持っている間は論評しないわけにはいきませんが、この先じり貧になる一方だろうと見ていたこともあります。

 

とはいえ、やはり小沢氏の公判の模様などは気になるので、新聞各紙の関連記事には目を通しています。そして、小沢氏の初公判を報じた107日付の東京新聞の記事に「ああ、やっとこの問題が出てきたか」と思う問題が文中に埋もれるように小さく出ていたので、その後の展開に注目していました。それは裁判の論点ではないのですが、私が小沢不動産問題のいかがわしさ、不透明さを訴えてきたいろんな理由の一つでもありました。記事にはこうあります。

 

 《(指定弁護士は冒頭陳述で)同会(資金管理団体の陸山会)が小沢元代表の妻に「毎月計344万円の不動産賃料を払っている」とも述べた。陸山会など小沢元代表の関連団体の支出は約6割が不動産関係という》

 

 10件以上の不動産物件を持つ陸山会が、どうしてさらに小沢氏の和子夫人に毎月そんな高額な賃料を払っているのか、ふつう疑問に思うところですね。しかも、陸山会のお金は基本的に政治資金であるわけで、それが小沢氏サイドに還流していることにもなります。私が気づいた範囲では、この冒頭陳述の部分を取り上げていたのは東京新聞だけでしたが、違法か合法かではなく、こういう手法にこそこの問題の本質があるとずっと考えてきました。

 

私も過去の2007228日のエントリ「小沢氏の資金管理団体は家賃2400万円も計上」(http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/125183/)2007525日のエントリ「自民・松波議員への懲罰動議と小沢不動産について」(http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/179167/)2008年のエントリ「小沢不動産・週刊現代記事を後追いしてみる」(http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/731962/)などで、この不可解な賃料の問題と和子夫人のかかわりについて幾度か書いてきましたが、十分詰められずにいました。ところが、やはり指定弁護士たちもこの点の不透明さは強調しておきたかったのでしょうね、直接、裁判の焦点になっていないにもかかわらず、冒頭陳述でしっかり指摘したというわけです。

 

 で、そうしているうちに今週発売の週刊現代で、この小沢不動産問題を当初から追い続けてきたジャーナリストの長谷川学氏が「奇々怪々! 小沢一郎が妻に渡す『毎月344万円の家賃』」という記事を掲載したので要約して引用、紹介します。長谷川氏は冒頭陳述を引用してこう書いています。

 

   《陸山会、政経研究会、誠山会は、和子から建物を賃貸し、平成12年以降は毎月344万円の賃料を支払っている》

 

   《和子夫人は被告人(小沢氏)の私邸近くの2棟も所有し、それを旧秘書寮として前述の政経研究会と誠山会に賃貸しており、平成7年以降、それぞれ毎695000(合計139万円)の賃料も受け取っている

 

 私の過去エントリで2400万円とあるのは、①の中の陸山会分についてです。また②の2棟についても過去エントリで書いた通り、現物を見にいきましたが、なかなか立派な建物でした。10人以上は優に住めるスペースがここにありながら、さらに36000万円かけてどう考えても不必要な新たな「秘書寮」を建てようとしたのが、そもそもこの問題が注目される発端でしたね。

 

それにしても毎月344万円の賃料だと、年に4000万円以上となりますね。いやはや、とてつもない金額ですが、それが10年以上続いたとなるとさらに……。私なんかには想像を絶する世界であります。

 

 で、①の建物はどんなものかというと、これは世田谷区の小沢氏の豪邸に隣接する「同じ敷地内」にあり、延べ床面積336平方メートルの2階建て(土地部分は約500平方メートル)。土地も建物も、小沢氏の私邸からほど近いところに住むA氏の所有で、長谷川氏の記事によると《和子夫人は、このA氏から土地と建物を借りる形になっており、さらに夫人がこれを陸山会に転貸している》という形です。

 

 で、実は私は以前、後輩記者にこのA氏に取材させ、「陸山会によるとあなたは月に約200万であの建物を貸しているというが、それは事実か」と当たらせたことがあります。その際、A氏の回答は

 

 「小沢さん(陸山会)200万円だと言っているのなら、きっと200万円なんだろうよ」

 

 という実に要領を得ないもので、ますます疑惑は深まったもののの、それ以上は取材に応じてもらえなかったのでした。このとき、この建物は事実上、小沢邸の敷地内にあってA氏には使い道がないし、年額2400万円もの賃料を毎年払い続けるぐらいなら、なんで買い取らないのか、しかもなぜ小沢氏個人ではなく陸山会が賃料を払うのか----などとさまざまな疑問が生じましたが、小沢氏の資金問題をめぐってはこんなことばかりでもあります。

 

 長谷川氏は記事でこう指摘しています。

 

 《政治団体のカネ=政治資金には、支持者からの献金の他、政党交付金などの税金も含まれている。そのカネを、政治家が直接、自らの懐に入れることはもちろん許されない。しかし妻などの名義を使い、そこに資金を迂回させれば、表面上は「合法的」になってしまう。これではまるで政治資金の〝マネーロンダリング〟だ。》

 

 小沢氏をめぐってはこのほか、小沢氏やその側近が支出、あるいは名目上の支出先となり約100億円が使途不明のまま闇に消えた政党の機密費、「組織対策費」の問題もあります。いま裁判で争われている政治資金収支報告書の虚偽記載問題も決して軽視はできませんが、疑惑の氷山の一角、問題の傍流にすぎないと考えています。まあ、書き出したらきりがありませんが、このへんでやめておきます。

 

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島根県隠岐の島町竹島と政治家の言葉について

2011/11/02 11:21

 

 

 さて、今回は韓国が不法占拠している島根県隠岐の島町竹島に関する問題と、政治家の言葉についてです。

 

 ご存知の通り、民主党政権は岡田克也元外相も枝野幸男前官房長官も現在の藤村修官房長官もみんな、この「不法占拠」という言葉を使いません。韓国竹島を不法占拠していることは事実であり、外務省のホームページもそう記している正式な政府見解であるにもかかわらず、韓国を刺激することを過剰に恐れていつも

 

 「竹島は法的根拠のない形で支配されている」

 

 という、言葉の置き換えで逃げています。この姑息な置き換えにどれほどの意味があるのかも疑問ですが、私はこれまで、とにかくそれが民主党政権のやり方なのだと理解していました。

 

 ところが今朝、自民党の「領土に関する特命委員会」を取材(フルオープン)していたところ、稲田朋美衆院議員が興味深い発言をしていたのが引っかかりました。稲田氏は野田内閣のあり方についてこう証言したのです。

 

 稲田氏 民主党政権になって「不法占拠」という言葉が消えた。私は衆院法務委員会で竹島の占有状況の法的な問題について平岡秀夫法相に質問したが、平岡法相は「法的根拠なく」ということも言えなかった

 

 これについては、出席していた外務相の石兼公博アジア大洋州局審議官も「法務委での平岡法相の答弁を確認したい」と驚いた様子でした。さすがは、民主党内でも「最左派」と言われる平岡氏ですね。

 

 私も、その法務委でのやりとりは承知していなかったので、早速、議事速報を取り寄せて確認しました。質疑は1025日に行われたもので、おおよそ以下のようでした(全文は長いので一部略します)。平岡氏は竹島について、我が国の領土であるという立場は一貫しているといいつつ、言を左右にして逃げまくっています。いったい何を恐れているのか

 

 稲田氏 竹島韓国が不法占拠している、それでいいか

 

 平岡氏 韓国の今の状況については、ちょっと私自身、今ここで明確に申し上げられる状況ではない

 

 稲田氏 これは我が国固有の領土を韓国が不法占拠している、それでよろしいねという質問です

 

 平岡氏 不法占拠ということ自体が、ある意味では非常に政治的に意味合いを持った言葉なので、私自身がここでその問題についてこうだといふうに申し上げるのは適当ではないと思う

 

 稲田氏 外務省の資料には、韓国が不法占拠していると書いてある。これは政府の見解だ。どうして法相が韓国が不法占拠していると言えないのか

 

 平岡氏 外務省が責任を持って答える立場だと思うので、私からはこれ以上言うつもりはない

 

 稲田氏 法相なんだから、不法か合法か判断できるでしょう

 

 平岡氏 外務省で整理している問題だから、外務省が責任を持って答えるべき問題だと思う

 

 稲田氏 大臣の意見を聞いている。日本の大臣だったら、それぐらい自分の言葉で答えられるでしょう。韓国が不法占拠している。これでいいか

 

 平岡氏 私は国務大臣という立場から、政府の見解と一にするものだと申し上げている

 

 稲田氏 では質問をかえる。韓国の占有に法的な根拠はあるか

 

 平岡氏 その問題について責任を持って答えるべきは外相、外務省だと認識している。私としては政府の見解に従った考え方をとっている

 

 稲田氏 少なくとも江田五月前法相は「法的根拠なく占有している」ということは言った。それはすなわち不法占拠と同じ意味だが、民主党政権になってなぜか不法占拠という言葉を使いたくない。弱腰だから。しかし、江田氏ですすら「法的根拠なく」ということは認めたんですよ。それすら認められないあなたに法相の資格は全くない。(ここまで)

 

 ……いやあ、平岡氏は本当に、頑なに「不法占拠」どころか「法的根拠なく」も使いませんね。あるいは本心では、閣僚でなければ韓国側に立ちたいのかもしれないと疑わしくなるほどです。だいたい、法の適正執行より自分の心情を優先して死刑を執行しないとか、政府の公式見解は口に出せないとか、法相って一体なんなんでしょうね。

 

 それにつけても、政治家の言葉が薄っぺらく、存在感が希薄になっているのを感じます。鳩山由紀夫、菅直人と二代の首相が政治家の言葉に対する信頼性を地の底にまで突き落としたこともありますが、野田佳彦首相の美辞麗句もだんだん上滑りを始めたように感じています。平岡氏に至っては、正しい言葉を口にすることすら避ける始末です。

 

 そんなことを考えていて、今夏に村上正邦氏(自民党参院幹事長)からいただいた暑中見舞いの文章を思い出しました。そこには、政治家の言葉について以下のような記述がありました。

 

 《「太古(はじめ)にコトバありき」

心うごきいでて、コトバとなれば、一切の現象展開して万物なるとヨハネ伝は教えています。

ことばの貧しいところには、平安や豊かさ、愛や幸せは、訪れません。

ことばの貧しさは、政治の貧しさです。

政治家は、真(まこと)のことばを忘れていないでしょうか。

自己正当化や言い訳、批判や非難、虚言ばかりを並び立てていないでしょうか。

国民は、政治家から、国を思う強いことば、民を心配するやさしいことばを聞いたことがあるでしょうか。

政治家は、つねに、ことばとふるまいを省みなければなりません》

 

 こじつけのようですが、最近連続し失言騒動を思い返しても、政治家の言葉があまりに軽いと感じるのです。直近では、民主党の仙谷由人政調会長代行がTPPに関連して「農協(反対を)わめいている」「(反対は)宗教的関心なのか」などと講演で発言し、TPP反対派から辞任を要求されるという出来事がありました。

 

 仙谷氏は早速、例のごとく「マスコミが一部を切り取って…」と矛先をマスコミに向けていますが、そもそも公の場で、誤解()されるようなことを言う自分に対して少しは反省したらどうかと思います。政治家の発言は常に監視されているということと、同時に、発言の一つひとつが国民へのメッセージであるということを、もう少し自覚したらどうかと。まあ、書いていて空しい思いもありますが。

 

 ※本日の自民党の部会については続報も書きます

 

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評判の悪い「記者ぶら」についての雑感

2011/10/21 13:56

 

 

 本日は、いわゆる「記者ぶらさがり取材」について、思うところを記します。野田佳彦首相は、菅直人前首相のやり方を真似て、毎日の記者ぶらさがり取材を「受けない」としています。主に失言を避けるためとされ、ネットなどの反応をみると「マスゴミのぶらざかり取材など受ける必要はない」という肯定的な見方と、「記者ぶらぐらいさばけないで逃げてどうする」という否定的な見解の双方があるようです。

 

 私自身は、国民がときの首相と政府の考え方を知る機会を確保する意味で記者ぶらさがり取材は継続した方がいいと考えています。ただ、ここで長年(8年余)、官邸担当記者をやっていたものとして「本音」を語ろうと思います。

 

 マスコミ各社がほぼ一致して継続を求めているこのぶらさがり取材ですが、正直なところ、われわれ記者にとってない方が楽で有り難い部分もあるのです。

 

 例えば夜のぶらさがり取材は首相のキャラクターやそのときの政治状況、日程などで多少変わってきますが、ほぼ夕方の6時ごろから、夜8時ごろまでの間に行われることが多いのです。これは官邸報道室、担当秘書官などから予定時間が知らされます。

 

なのですが、そのときの首相の都合や急な来客などで、予定時間になっても始まらないことがしばしばで、特に菅氏は遅刻の常習者でした。約束の時間に20~30分遅れることは珍しくなく、その間、ぶらさがり要員の記者も、その報告を受けて記事にするかどうか判断し、デスクと打ち合わせて記事を書くキャップ、サブも待機を強いられます。ときにはそれが締め切りと重なり、一層いらいらが募るのでした。

 

 そういった場合、たとえ夜7時半から取材のアポイントがあろうと、取材相手から飲み会の誘いがあろうと官邸を離れるわけにはいきません。約束した相手にわびを入れたり、アポを変更してもらうなどしながらじりじりと「ぶら」が始まるのを待つしかありません。

 

 しかも、そうして「ぶら」が始まっても、ほとんどつまらないことしか言わなかった菅氏はともかく、常に素っ頓狂で正気を疑うようなことを言い出す鳩山由紀夫元首相などの場合は油断ができません。朝述べたことと夕には違うことを言い出す「食言上等!」の人だったので、ぶらさがり取材の結果を受けて、せっかく書き上がっていた記事を全面的に差し替えたり、他の記事も整合性上、微修正を加えたりと連日のようにてんてこ舞いでした。

 

 そうこうしているうちに、夜の取材どころか夕飯すら食べ損ねるということがたびたびありましたし、今年3月に菅氏が東日本大震災を口実にぶら拒否を始めた際は、内心、これで少し楽になったと思ったものでした。

 

 私はとにかく、できるだけ楽をしたいという気質、性質を持っているので、本来であれば、ぶらさがり拒否なんて渡りに船、と言いたいところなのですが、やはり国民に「情報」を伝えるという仕事上の立場を考えるとそうは言っていられないのです。

 

 繰り返します。ぶらさがり取材なんてなくても新聞紙面は埋まりますし、むしろない方が現場の負担は少なく、うれしいぐらいなのです。それでもなお、筋として、記者ぶらはあった方がいいと思うのです。

 

 以前のエントリで少し触れたらたくさんの反応があったTPP交渉参加問題にしろ、米軍普天間飛行場移設問題にしろ米国産牛肉輸入問題にしろ、また、原発輸出にしろ土壌除染にしろ韓国が主張する無理筋な慰安婦問題にしろ竹島問題にしろ、日々、世界は動いていて、たくさんのニュースが入ってきます。

 

 その中で、わが国のトップがどう考えていて、どう動こうとしているのか知りたい問題は枚挙にいとまがありません。官房長官が毎日、記者会見しているからよいのだという意見もありますが、やはり政治の世界では官房長官と首相とでは発言の重みが天と地ほど違うものです。なんだかんだ言って、日本国は首相という1個人が動かしている部分が大きいのです。そのトップの判断、考えはいくら問うても足りないくらいです。

 

 だいたい、これまで慣例的に、記者ぶらの質問事項はおおむね(全部ではありませんし、首相の答弁を受けての再質問などは事前通告のしようがありませんが)、事前に首相サイドに伝えてあるのです。なので、それでも失言を恐れて受けられないというのは、その政治家とスタッフの側の能力を疑問視せざるを得ないところです。

 

 もちろん、われわれメディア側の質問がつたないとか、揚げ足とりが多いだとかのご批判も分かります。マスコミは国民を代表してなんかいないし、その知る権利に奉仕もしていないというご指摘も承知しています。それらのご批判はもっともだと思いますが、たとえ聞き手が拙かろうと、聞く機会自体を減らした方がいいという理屈にはならないと愚考するのです。

 

 また、記者会見をやればいいという意見もあります。ただ、首相記者会見ではどの社のどの記者を指名するかはいくらでも恣意的に操作できますし、再質問は原則許されていないので、あまり突っ込んだやりとりにはなりにくいという性質もあります。さらに、菅氏がそうだったように、自分が何かアピールしたいときだけ緊急記者会見を開き、そうでないときはいくら重要問題が浮上しても知らんぷり、というやり方も常態化しかねません。

 

 昨今、マスコミによる印象操作やレッテル貼りが批判されています。それはどんどん批判すべきものだと思いますが、ただ、気をつけておかないといけないのは、印象操作もレッテル貼りもマスコミの専売特許ではないということです。政治家も官僚も、このところの世間のマスコミ報道への風当たりの強さを利用して、都合の悪い記事や報道について印象操作やレッテル貼りを通じてその価値や信憑性をおとしめることをします。

 

 当然ながら、マスコミが常に正しいわけでも公正なわけでもありませんが、それはその取材対象にも言えることなのです。マスコミは私も含め、しょっちゅう判断を間違えたり、見通しを違えたりするので信頼性が持てないといわれれば返す言葉はありません。ただ、だからといって、報道がすべてが嘘であるとか、歪んでいるということにはならないはずです。

 

 そして仮にマスコミというレンズを通すと実態がどうしても歪むとしても、たとえよく見えないレンズを通じてでも、はじめから何も見えないよりマシということは多いのではないでしょうか。

 

 昨今、民主党の輿石東幹事長をはじめ、政治家のマスコミ報道批判が勢いを増しています。繰り返しますが、マスコミのあり方や報じ方に多々、問題があることは十分認めます。それでもなお、警戒してほしいのは、こうしたマスコミ批判の背後には、情報発信を自分たちの都合のいいように操りたい人たちの意図と思惑もあるということです。

 

 もとより私はマスコミの代表でも代弁者でも何でもないし、食べていける別の職があるなら、この仕事にそれほど未練もありません。こういう人に嫌われ馬鹿にされる仕事よりも、接する人に喜んでもらえるような仕事を選びたかったなあとも思います。むしろ、この世界に20年以上、どっぷりつかってきただけに、問題点も限界も実感していますから、今後もそう状況がよくなるという楽観はしていません。

 

 おそらくこの先も批判され、馬鹿にされ続けるであろうマスコミではありますが、かといって、マスコミがなくなったら世の中がよくなるというような極論には、どんな根拠と見通しがあるのだろうと、不思議でなりません。

 

 同様に、ぶらさがり取材がふだん、冷静にみてばかばかしい内容が多かったり、見ていて歯がゆいことが多かったりするとしても、じゃあ、なくなった方がいいかというと大いに疑問なわけです。

 

 ただでさえ、民主党政権は情報隠蔽体質が強く、何かと不透明で密室を好む政権です。そういうときに、首相が密室に逃げ込み、国民への説明から逃げることを助長するようなことには、たとえその方がこっちも楽であったとしても反対せざるを得ません。マスコミはいくら批判されても仕方がない負の実績をもっていますが、政治家だって放っておけばどんな独善・独裁に陥るか分からない危うさがあります。

 

 牽強付会のそしりを覚悟で言えば、三権分立の原理だってそうであるように、互いに不完全で怪しげな存在だからこそ、互いに牽制し、監視しあう必要があるわけで、片方がひどいからといって、もう片方がひどくないということにはなりません。国民がマスコミを批判し、同様に政治家も厳しい目で見てこそバランスがとれるのではないかと思うのです。

 

 結論は、首相にとっても記者にとってもめんどくさいことながら、やはりぶらさがり取材は続けた方がいいということです。もちろん、もっとうまいやり方、新しいルールが生まれたならばそれはそれでかまいません。ただ、現時点ではこう考える、ということをちょっと書いてみました。

 

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野田首相の訪韓と政府専用機と自民党外交部会と

2011/10/20 14:15

 

 

 えー、というわけで18、19両日、野田佳彦首相の同行取材で韓国へと行ってまいりました。そして本日(20日)午前、自民党の外交部会・外交・経済連携調査会・領土に関する特命委員会が開かれ、この野田首相と李明博大統領との首脳会談について自民党議員から意見と質問が出て、外務省の石兼公博アジア大洋州局審議官が答えていましたので、その内容を報告します。テープ起こしではないので必ずしも文言は正確ではありませんが、大意は外していないはずです。

 

 

     

     18日夕、羽田空港で政府専用機に乗り込む記者たち。ソウルに着いたら気温は8度でした。

 

 

 平沢勝栄氏 野田首相は大統領に、韓国に残る日本の古文書について「アクセスの改善を期待する」と述べたというが、このアクセスの意味は何なのか。また、それに対して大統領の返事はどうだったのか。それと、竹島については一切、話が出なかったのか。外国人地方参政権も出なかったのか。

 

     

     日の丸が掲げられた青瓦台(大統領府)。入る際には1人ひとり、厳重なボディーチェックと持ち物チェックを受けました。

 

 石兼氏 韓国には対馬宗家文書などがあるが、マイクロフィルムだけの公開で原本は公開されていない。そのほかにもある文書へのアクセスを改善してくれというような意味だ。その首相の発言に対し、大統領から明示的な発言はなかった。しっかり聞いていたということだ。

 竹島については、明示的にこちらから話したことはない。参政権に関しては今回、向こうから提起はなかった。

 

 

     

     共同記者会見が始まる前の記者会見場。記者会見といっても、質問は日本側2問、韓国側2問と決められていて、質問者に選ばれなければテレビで見ていた方が回答もよく分かるかもしれません。

 

 稲田朋美氏 今回、野田首相から何か国益に合致するような発言はあったか。竹島の件では、私たちは入国拒否された。いろいろな意見はあったが、世界に対し、日韓に領土問題があることを発信したと思う。それについて、(野田首相が)国際司法裁判所へ進めるなどの話をしないのであれば、何のために外交をやっているのか。

 なぜ儀軌を引き渡してくるのか。これは慰安婦の問題とかかわってくる。いったん、日韓基本条約で解決したことを蒸し返して儀軌を引き渡すのは、解決済みの慰安婦問題が出てくるのと同じ構図だ。

 

 

     

     野田首相が持参した朝鮮王室儀軌など古文書。思いの外でかいと感じました。

 

 西野あきら氏 野田首相は今回、二国間外交で実質的なデビューだ。日韓首脳会談で「基本的価値を共有していることを確認した」などというが、こんなのは閣僚とかがメッセージを出していればいい話。現実には領土問題でも韓国の方が先行し、わが国は後手後手だ。我が国の主張がないように感じる。首相は我が国の主張をしてくるべきではないか。

 

 中谷元氏 スワップ(通貨交換)などによる韓国への資金支援枠を現行の130億ドルから700億ドルにしたが、これはウォンが下がっていることを助けるという意味か

 

     

     日本へ出発前、ソウル空軍基地に2機並んだ政府専用機とその予備機。よくマスコミはタダだと誤解されますが、民間旅客機と同様の運賃は(会社が)払っています。

 

 石兼氏 もちろん、竹島の入国拒否の話は、これは閣僚も私どもも常にやっているし、今後もやっていく。そういう前提の上で野田首相は取り上げなかった。稲田先生から国益としてどうかというお尋ねだったが、日米韓の立ち位置をどうしていこうか、日韓の首脳で腹を合わせてしっかりやってもらうことは間違いなくこの先の基礎となる。

 西野先生からは「そんなわかりきったことを」というご指摘があったが、新しい首相が先方のトップと少人数会合で確認するのは意味がある。

 儀軌の引き渡し慰安婦問題とかかわるという話があったが、慰安婦問題に関するわれわれの立場は一貫している。儀軌引き渡しが慰安婦問題でわれわれの立場に何か予断を与えるということはないと思う。

 スワップは現時点でのウォン安をどうするという話ではない。何か起こったときに韓国を中心として何らかの不安定化が起きないように抑止力として、制度としてつくるものだ。現時点でのウォン安をどうするというものではないと財務当局から聞いている(※阿比留注 韓国政府は、自国経済の表面上の調子のよさとは裏腹に実はかなり危機感を持っていると聞きます)

 

     

     帰国途上、政府専用機の窓から見えた日の丸と韓国の大地。やはり日本の山々、緑の方が優しいように思えました。

 

 今津寛氏 外務省のホームページでも竹島について「不法占拠」と記しているのに、松本剛明前外相も藤村修官房長官も「不法占拠」という言葉を絶対に使わない(※阿比留注 枝野幸男前官房長官も岡田克也元外相もそうでした)。その点をいくら国会で聞いても「竹島は法的根拠のない形で~」という言い方に終始する。ソウルの日本大使館の真ん前に慰安婦の記念碑が建てられるという問題もある。首相が入国拒否問題について一言も触れないというのはあり得ない。何をそんなにへりくだっているのか。

 

     

     和紙の繊維をたたいて敷き詰めたような雲。今回はたまたま窓際を割り振られたので、わずか2時間弱のフライトながら「翼に日の丸」の風景を堪能しました。

 

 小野寺五典外交部会長 おそらくこれらのことをいくら外務省に言っても仕方がない。われわれはみんな同じ思いなので、国会でぜひ政府を追及しましょう。

 

     

     機内食はプルコギと韓国風海苔巻き。ここでも韓流!とめくじら立てることなくおいしくいただきました。何せ、19日は昼食を取る時間などとてもなかったもので。

 

 新藤氏 外務省には、もう少しきちんと分析して回答してほしい。以前の外交部会で自民党からの宿題として、官邸に①儀軌を持っていくのは反対だが、もし持っていくなら韓国に残る日本文書の引き渡しの交渉を申し入れるべきだ②竹島の(ヘリポートなどの)工事中止を要求すべきだ③入国拒否の理由と今後の対応についてきちんと問いただすべきだ④慰安婦の記念碑建設をやめるよう申し入れろ……の四つを出した。回答ゼロのようだ。

 野田首相は国内でこれだけ反対がある中で儀軌をこれだけの思いをしてもっていったが、大統領は何か感謝したのか。フランスがかつて強奪した儀軌の韓国への期限付き貸与を実施した際には、韓国大統領はわざわざ見に行って、歓迎式典までやったのにだ。

 外務省の説明にはないが、今回の会談について韓国の連合ニュースは、日本からの大統領の来日招請に関し、懸案、つまり歴史問題が解決されなければ難しい部分があると大統領が述べたと報じている(※阿比留注 李大統領は共同記者会見でそうとれる発言をしています)。

 

 平沢氏 結局、野田首相はやっかいな問題は全部先送りして表向き仲がいいと演出しようということなんだろう。韓国にある日本文書へのアクセスの件だが、国民はアクセスを求めているのではないんで、日本に引き渡せというのが当たり前だ。屈辱外交、土下座外交というか、なぜ引き渡しと言わないのか。

 

     

まるで南極の雪原の上を飛んでいるかのような錯覚にとらわれました。実際は名古屋か三重のあたりなのですが……絶景でした。毎度のことですが、さまざまな形の雲がながれゆくさまを眺めるのは飽きません。

 

 石兼氏 大統領は訪日について、条件はつけていません。韓国報道は違うかもしれないが、われわれはそうではない。

 

 小野寺氏 外務省当局にいくら聞いても、最終的には政治判断なので、国会論戦でやりましょう。予算委員会で直接、野田首相に確認していくことが大事だ。

 

 高村正彦 (野田政権は)「政治主導」でやっているんでしょうから、国会で十分問いただしてほしい。

 

     

     19日夕、羽田空港に戻ってきたときの夕焼け空。左手は「赤富士」なのですが、何せ揺れるのと暗いのとでブレブレですみません。肉眼では空はもっと真っ赤に見えたのですが……。

 

 いよいよ本日、臨時国会が始まりました。ですが、政府・民主党のこのていたらくにもかかわらず、どうも自民党にもあまり期待感が持てません。自民党新執行部の顔ぶれとそれが決まる経緯をみても、国会対応の腰の定まらなさをみても、なんとなく野田政権がこのままズルズルいくような。

 

 あるいは全然そうではなく、例のTPP問題をはじめ大荒れに荒れるのか。まあ淡々と、でもしっかりと見ていこうと思います。

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物事をあまり単純化するのはよくありませんが、TPPについて

2011/10/19 09:58

 

 

 ただいま、ちょっと韓国に来ていまして(野田佳彦首相の同行取材)、時間がないので簡単に記します。いま話題のTPPの是非についてですが、これについて少し思うところを述べます。

 

 TPPに一定の賛意や理解を示すと、よく「米国ポチ」であるとか、米国に取り込まれるという批判を受けます。まるで「踏み絵」のようで、なんだかなあと感じているのです。ただ、相手がある外交では常に最善は望めず、次善、さらにその次であっても選ばないといけないときがあると思います。

 

 で実際、TPPには米国の思惑が当然、反映されているわけです。当然、自国の利益が最優先であるのは当然だし、強欲で利己的な部分もあるでしょう。ただ、それでもそれは一面的なものではなくて、やはり多様な考えや意図が背後にあるのだろうと考えるわけです。

 

 その中で、私が特に関心を覚えることの一つが、これが対中国の政策であるという点です。中国とどう向き合うかは、これからの世界で最も大きな課題の一つだと考えます。その中で米国にしてみれば、これからますます台頭していく中国に対し、日本や東南アジアを巻き込む形で牽制、対抗していこうという動きがTPPでもあるわけです。で、これは日本にとってどうでしょうか。

 

 現に、中国は表向きははっきりと言いませんが、日本の政界にはかなりTPP反対の働きかけをしているようです。先日は官邸にも中国の公使が目的も明かさずに来ていました。中国大使館関係者があちこちに出没していると聞きます。

 

 また、TPPに反対・慎重論を展開している政治家(これもいろいろですが)の中に、東アジア共同体が必然だといまだに言っている鳩山由紀夫元首相ら親中派グループがいることを思うと、TPPにただ反対することは、中国を利することでもあるのだろうなと愚考します。

 

 私自身は、まがりなりにも唯一の同盟国と、我が国に何百発もの弾道ミサイルの照準を向けている国とどちらを選ぶかといえば、言うまでもありません。もちろん、本来はまず二国間協定が望ましいとかいろいろあるし、ことはそう単純なものではありませんが、そういう視点もあっていいかなと。

 

 もうそろそろ青瓦台に行かなければならないので、とりあえずここまでとします。

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野田首相訪韓を前に入国を拒否された新藤義孝議員に聞く

2011/10/15 08:35

 

 

 さて、先日の自民党外交部会で6日の日韓外相会談でも、玄葉光一郎外相の李明博大統領の表敬の場でも、8月に韓国・鬱陵島を視察しようとした自民党国会議員3人が入国拒否に遭ったという信じられないような非礼について、話が一切出なかったことが確認できました。これが野田政権、というよりも民主党政権の外交姿勢の一端を表していることは間違いないでしょう。

 

 そこで私は昨日、入国拒否とされた1人である新藤義孝衆院議員(元外務政務官)に現在の日韓関係や、野田佳彦首相が18日の訪韓時に一部持参するとされる朝鮮王室儀軌など朝鮮半島由来の文書引き渡しについてどう考えるか聞いてきました。その内容について、新藤氏はブログ掲載を許可してくれたので紹介します。

 

     

 

  外交部会でも、首相の儀軌持参に反対していましたね

 

 新藤氏 今回の儀軌引き渡しの問題は、いわば日本外交の盲点を突かれたと考えています。日韓間ですでに解決済みの問題を、菅政権が日韓併合100年にあたってあえて蒸し返したところにも問題があります。

 

  というと具体的にはどこに

 

 新藤氏 まず、この「図書に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定」は、相互協定と言いながら、日本から韓国に文書を引き渡すばかりで、韓国側にも日本の歴史的文書がかなりいっていることを、昨年11月の協定署名の数日前まで、外務省も含め日本政府側は誰も知らなかったのです。

 

  随分とずさんな話ですね

 

 新藤氏 実は「対馬宗家文書」をはじめ10万点以上に上る日本の文書が韓国に残っていることが分かりました。それなのに、日本側はそれの引き渡しを求めていない。完全な片務条約であり、幕末期の不平等条約並みです。私がこの事実を外務省に知らせたとき、担当者は「本当ですか、まいりました」と言っていました。韓国にあるものも日本に引き渡すようでないと、「日韓両国間の文化交流及び文化協力の一層の発展を通じて、日韓両国及び両国民間の友好関係の発展に資する」という協定の趣旨が生かされません。

 

  結局、日本は韓国にも引き渡しを求めることをしませんでしたね

 

 新藤氏 ええ、問題はさらにあります。この韓国文書引き渡しはそもそも、昨年8月の菅首相談話で「日本が統治していた期間に朝鮮総督府を経由してもたらされ、日本政府が保管している朝鮮王室儀軌等の朝鮮半島由来の貴重な図書について、韓国の人々の期待に応えて近くこれをお渡ししたい」と表明したことに始まります。

 

  この菅談話に関しては、野田首相(当時財務相)は当初反対でしたが、仙谷由人官房長官(当時)に説得されて反対を引っ込めたのでしたね

 

 新藤氏 はい。それで、儀軌167冊を引き渡すことになったのですが、実はこのうち4冊は、古書店で日本政府が買ったものであり、由来が異なるのです。また、儀軌のほかに1038冊の文書も引き渡すのですが、これもおかしな話です。韓国国会はこれまで、昨年2月の「日本所蔵朝鮮王室儀軌返還要求決議」などで儀軌を戻せと求めてきましたが、それはあくまで儀軌だけなんです。

 また、韓国の連合ニュースによると儀軌以外の文書は、実は韓国統監府の初代統監、伊藤博文が日韓併合前に手に入れたもので、菅談話の枠に入っていないのです。これでは日本政府はおめでたいというしかありません。

 

  日韓間で受け止めも違いますね

 

 新藤氏 日本側はこれを善意の「引き渡し」としていますが、韓国側ははっきりと「返還」と位置づけています。今年513日には、ホテルオークラで大々的に「朝鮮王室儀軌 返還記念宴会」を開いているくらいです。しかも、この席には共産党や民主党の国会議員も出席しているのです。これを伝えた連合ニュースは「日本で儀軌返還に努めた笠井亮・共産党議員に感謝牌を与えた」と書いています。「与えた」ですよ。

 また、このときの韓国の権大使は「さらに多くの文化財が韓国に返還されるよう」とあいさつしています。韓国は国会決議では「『文化財の原産国返還』というユネスコ精神が責任感をもって実現されることを期待する」としています。そうであれば、韓国は日本から渡った文化財を返還しなければなりません。日本はその交渉を行うべきです。

 

  日本政府は一方的に譲歩を重ねるばかりで、ピントが完全にずれていますね

 

 新藤氏 この3月の東日本大震災以降をみても、韓国の閣僚が5カ月間で6人も竹島に上陸して式典などを行いました。それまで着工が延期されていた竹島のヘリポート改修工事は、なんと震災直後に着工されました。竹島沖合わずか1キロの海域に新たに建設される地上15階建ての海洋科学基地は4月に入札され、竹島には大桟橋もできます。昨年6月からは竹島に定期観光船も就航しています。

 

  日本の弱腰をみて、どんどん攻め込んでいますね

 

 新藤氏 8月にわれわれが入国拒否された件でも、われわれは韓国側に「その法的根拠と今後の運用について見解を示すように」と求めていますが、一切答えはありません。ことごとく韓国側は日本の国民感情をさかなでする行為を続けているのです。儀軌にしたって、日本は約束をきちんと履行しているのに、日本の主張には一切耳を貸さないという態度です。

 それなのに、野田首相が訪韓に際し儀軌を持参するとなれば、韓国側に「これでいいのだ」と誤ったメッセージを送ることになります。

 

  日本外交はこのところ負け続けです

 

 新藤氏 しかも、それが政権交代後のこの2年間に起きているのです。民主党政権は韓国に対し、まず竹島について「不法占拠」という言葉を使いませんというメッセージを送りました。前述のヘリポート工事の計画は2008年からあったものですが、自民党政権のときは一切触らせなかった。

 それが政権交代後は、韓国が何をやっても「抗議しない」「抗議しても明らかにしない」「国民に知らせない」でどんどんつけ込まれています。領土や国家主権についてきちんと主張しない国は、誰からも信用されないのにです。

 尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件での中国の強硬姿勢も、私は民主党政権の竹島への対応を見てのことだというのは間違いないと思っています。ロシアも、これを見てメドベージェフ大統領が北方領土初訪問に踏み切り、さらに中国と歴史認識を共有すると言い出した。

 この前、韓国の国会議員が国後島へ行った際もロシアは特別な便宜を図りました。気がついたら、中韓露による日本包囲網ができている。にもかかわらず、野田首相がいそいそと儀軌を抱えて持っていくというのですから……。

 

 私 悪循環にはまっていますね

 

 新藤氏 儀軌の話に戻ると、日本にある儀軌は別に強奪したものではありません。そもそも総督府から宮内庁へと儀軌が渡ったのも、朝鮮王族を日本の皇族と同様に差別なく扱いたい、そのためにも朝鮮王族の儀礼を知るべきだという天皇陛下のお考えがあったといいます。

 一方、例えばフランスは韓国の儀軌を強奪したにもかかわらず、17年間もの韓国との交渉の後、返還はしないと決めました。期限付き貸与としたのです。

 

 私 日韓関係を正常にするにはどうしたらいいとお考えでしょうか

 

 新藤氏 実は、8月にわれわれが入国拒否された後、韓国の与野党代表団の竹島視察が「天候不良」により中止されました。その後、誰1人として閣僚も国会議員も竹島に渡っていません。少なくとも私の知る限り。やはり、それなりのくさびはきいているということでしょう。

 何も私たちはナショナリズムを煽ろうなどとは考えていません。ただ、韓国とはきちんともめるべきはもめて、本当の話し合いをしてこそ本当の友人になれるのだと考えています。今までは、ケンカをする前に贖罪意識をもたされ、謝罪しながら外交をしてきました。

 ですが、私たちは本気で韓国と付き合う、だから嫌なことも言うよ、という誠実な外交に切り替えていかなければならないと考えています。()

 

     

 

 ……以上、新藤氏の話をまとめてみました。これまでほとんど話したことのない人でしたが、理路整然と答えてくれました。正直なところ、自民党政権時代の外交にも多々不満はありますし、そのたびに批判してきましたが、日本の地盤が地滑りして崩れていくようなこの民主党外交のこの2年間を思うと空恐ろしくなりますね。

 

 昨日、ある政治評論家と話していたところ、その人は「それでも民主党が学ぶのを待つしかない。全共闘世代が消えたらだいぶマシになる。いま民主党がつぶれたら二大政党制が終わりになる。相互に監視・牽制する政党が必要だ」と語っていました。

 

 これも一理あると率直に思います。ですが、日本にそんなに余裕、残された時間があるかというと、大いに不安になるのでした。

 

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自民党外交部会の公開性と民主党の政策決定の不透明さと

2011/10/14 08:51

 

 

   昨日は自民党の外交部会・外交・経済連携調査会・領土に関する特命委員会が開かれました。これについては、今朝の産経政治面に坂井広志記者が書いた「民主の対韓融和非難 自民『儀軌引き渡し反対』」という記事が載っているので参考にしてほしいのですが、記事に出ている部分以外でもいくつか興味深いところがあったので報告します。

 

 まず、民主党前原誠司政調会長が11日に韓国で、アジア女性基金を参考にした韓国の元慰安婦への新たな人道支援基金の構想を表明したことについてです。前原氏は割と事前調整も根回しもせずに思いついたことを口にする方なので、たぶん、そんなところだろうと思っていましたが、外務省の石兼公博アジア大洋州局審議官は、自民党議員らの質問にこう明言しました。

 

 石兼氏「現時点で検討していることではない。いま新しいものをつくることを考えていることはない。前原さんから相談を受けたこともない」

 

 とりあえず、野田政権として正式に検討していることではないことが確認できました。だとしたら、前原氏の発言は日韓間にいたずらに悶着の種をまいただけの無意味な二元外交の典型といえましょうか。

 

 それと、実に興味深かったのが、韓国の憲法裁判所が8月、慰安婦問題をめぐる賠償請求権について「韓国政府が具体的な措置を取ってこなかったのは違憲」とする判断を示したという問題に関しのやりとりでした。以下、私がメモにとった範囲なので言葉は必ずしも正確でない部分がありますが、大意は合っているはずなので紹介します。まず、石破茂政調会長がこう尋ねました。

 

 石破氏「韓国の憲法裁判所で、個人請求権に基づいて韓国政府が日本に賠償を請求しないことは憲法違反だと判断したとされる。これによって、韓国政府はどういう立場に立つのか?」

 

 石兼氏「韓国の憲法裁判所の件は、慰安婦と原爆被害者が原告となり、韓国の外交通商部を相手取り起こしたもので、韓国政府に日韓請求権の解釈の違いについて協議しろという決定です」

 

 …もちろん、日韓間の請求権問題に関しては、14年間にもわたる難航を極めた交渉の末、昭和40年に締結された日韓基本条約とそれに伴う協定で「完全かつ最終的に解決」されています。ところが近年、韓国側はそれに含まれていない問題もあると言いだしているわけです。その点について石兼氏はこう説明していました。

 

 石兼氏「請求権に関する韓国政府の立場は必ずしもはっきりしない。以前は解決済みというスタンスだったが、2005年あたりから『解決していない』という立場をとっている」

 

 そして、韓国の憲法裁判所の判決についてさらにこう説明しました。

 

 石兼氏「韓国の憲法裁判所は『日韓で協議をしろ』と言っている。協議していない状態が慰安婦らの基本権を犯しているということだ」

 

 ここで、高村正彦元外相が面白い指摘を行いました。韓国政府は11日に国連の女性の地位向上について協議する第3委員会の場で、慰安婦問題を含む戦時性暴力に関するステートメントを出しています。その際、日本政府は「慰安婦問題についての請求権は協定で解決済み」と主張しました。これを踏まえ、高村氏はこう質問したのです。

 

 高村氏「向こう(韓国)が向こうの主張を言って、こっちは『解決済み』と言ったのだから、これは協議でしょ」

 

 これに対し、石兼氏は「先方はそうは受け取らないと思います」と答えたのですが、高村氏はさらにこう述べました。

 

 高村氏「日韓双方が主張したのだから、協議でしょ」

 

 石兼氏が「うーん」と言葉に詰まったところで。石破氏がこう引き取りました。

 

 石破氏(日本は解決済みだと言い、韓国憲法判断に基づき協議しなければならないのだから)これは未来永劫続くんでしょう。(韓国政府としては)止めちゃったらダメなんでしょ」

 

 結局、韓国憲法裁判所の判決の正確な位置づけと、それに対する韓国政府の法的立場、何をもって日韓協議とするかなどについて、外務省として改めて自民党外交部会に提示することになりました。

 

 自民党の場合、こういう政策決定や意見集約の課程が民主党に比べはるかにオープンなのでわかりやすいですね。政策の党部会による「事前承認制」については、族議員の介入や政策決定の遅延を理由に否定的に見る議員もいますが、私はこの公開制は捨てがいと思います。特に、民主党の場合はかなりの部分、政策決定がブラックボックスの中で行われるか、トップの「思いつき」で方向付けられてしまうので、それに比較するとよいように思えます。

 

 昨日、自衛隊のPKO派遣がほぼ決まりつつある南スーダンに何度か行ったというジャーナリストの話を聞く機会がありましたが、現場はやはりとんでもなく危険なようです。

 

 こういうとき、自民党政権であれば、国防部会などで武器使用緩和問題や派遣条件などが侃々諤々の議論を呼び、それがまたオープンにされているので記事になりやすく、けっこう国民的議論を呼んだものですが、民主党政権ではほとんど話題にならないまま決まっていく怖さがあります。

 

 また、首相がぶらさがり取材を受けないので、こういう重要な問題について首相がどう考えているかを質す機会もありません。民主党政権が今後も続くのであれば、この非公開・情報隠蔽体質は何とかしてほしいし、そうでなければ非常に危険だと考えています。

 

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前原政調会長の愚かな慰安婦発言とアジア女性基金について

2011/10/11 16:51

 

 

民主党前原誠司政調会長は11日、韓国政府が賠償請求権交渉を求める慰安婦問題について、平成19年に解散した「女性のためのアジア平和国民基金」(アジア女性基金)を参考にした新たな基金創設を構想していることを明らかにしました。ソウル市内で記者団の質問に答えたものです。

 

 前原氏は「自民党政権の時もアジア女性基金が行われたことを考えた場合、何らかの人道的な仕組みを検討する余地があるのではないか」と述べました。また、同日の記者会見でも「韓国政府側は(かつてアジア女性基金に)否定的な考え方をしたが、それは以前の話であり李明博政権ではない」と語り、韓国側も正式賠償とは異なる基金形式を受け入れる可能性があるとの見通しを示しました。

 

 さて、前原氏は、というべきなのか野田政権は、というべきなのか、どちらにしろ民主党政権は相変わらずナイーブで逆効果な譲歩外交を続けているようです。ソウルの日本大使館前に慰安婦の記念碑を建てようという韓国側の嫌がらせに対し、相手にまた何とかしてお金を払いましょう、そうすればきっと機嫌を直してくれるんじゃないかなという話ですね、これは。

 

 藤村修官房長官や玄葉光一郎外相ら政府側からはまだ、前原氏に同調する動きを見せていませんが、首相候補でもあった民主党幹部である前原氏が韓国でこんなことを言えば、いろいろと波紋が広がるのは間違いありません。

 

 しかも、民主党外交はいつも、2国間外交しか視野に入らないようで、こうした対韓姿勢が他の国にどう受け取られ、波及していくかという視点が感じられません。慰安婦問題でアジア女性基金が一時金を支給したのは韓国だけでなく、フィリピンインドネシアもそうであり、韓国対象に似たような基金を立ち上げた場合、他国がどう考えるか前原氏は少しは検討したのでしょうか。

 

 菅前政権下で仙谷由人官房長官(当時)が主導した対韓外交は、韓国併合百年に当たっては「謝罪は一度で十分」という国際常識に反し、日韓両国の請求権について「完全かつ最終的に解決された」「いかなる主張もすることができない」と定めた日韓基本条約にさからって、「菅謝罪談話」を発表しました。さらに、韓国に残る日本の文化財、歴史的文書は請求しないまま、日本に所蔵されている朝鮮王室関連文書の引き渡しを約束しました。

 

 こうした対韓傾斜は、仙谷氏の周辺によると「台頭する中国に対抗するには日韓がより親密に手を結ぶしかない」というもっともらしい理由説明がありましたが、政治も外交も結果がすべてです。こうして次々と日本が韓国に一方的に譲歩していった結果、日韓関係は前進しているでしょうか。

 

 逆に韓国側は、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件での菅政権の国辱的な弱腰外交(これがロシア大統領の北方領土訪問にもつながっていると見ています)から日本の足下を見て、閣僚が相次いで竹島を訪問し、竹島付近の日本領海内で「海洋科学基地計画」を打ち上げるなど挑発的な行為を続けています。8月には自民党の国会議員3人の入国を拒否し、同月には憲法裁判所が慰安婦問題は解決していないと政府をけしかけています。

 

 日本国としての意思をきちんと示さないで譲歩を重ねたところで、相手になめられ、かえって押し込まれるだけだという自民党時代からのハト派政権が繰り返した「譲歩外交」の失敗をどうしてこうも再現したがるのか。何か得たものがあるというのなら、きちんと国民に示してほしいと思います。

 

 折しも韓国は来年、4月には総選挙、12月には大統領選が控え、国内事情から「日本たたき」は政治家にとって必須アイテムかつブームとなっていて、そこに新たな材料を投下してどうするのか。18日には野田佳彦首相が訪韓するわけですが、いったい何を言わされるのだろうかと心配です。

 

第一、アジア女性基金などの基金形式に対しては、韓国は「そういうものをもらえば、ことの本筋をすり替えることになる」(金大中元大統領)などと反発してきました。前原氏は「李明博大統領は違う」と考えているようですが、どこにそんな根拠があるのか。そもそも、来年には交代する政権に期待したところで、次の政権がひっくり返せば終わりです。外交は本来、政権が変わっても継続性を持つべきですが、民主党自体が外交の継続性を無視してきたのも明らかですね。

 

 で、ここからは思い出話です。私は平成12年に当時のアジア女性基金理事長だった村山富市元首相にインタビューしたことがあります。村山氏が、韓国に同調してやはり基金形式はダメだという声が強かった社民党内の反対論を押し切って理事長となったことに興味を覚えたからでしたが、インタビューにはなぜか理事の和田春樹氏(左翼的活動家として有名ですね)が同席しました。

 

 私は、ヘンだなあとは思いましたが、理事長となったばかりの村山氏では答えられないこともあるかと考え、気にしないことにしました。それで、私がこう質問したときでした。

 

 「元慰安婦に一時金を払うというが、元慰安婦の大半は日本人女性だ。アジア女性基金は日本人元慰安婦についてはどう考えているのか」

 

 村山氏は「うっ」と詰まったきり絶句し、何か言葉を探しているようでした。私はじっとそれを待っていたところ、それまで黙って聞いていた和田氏がいきなり、

 

 「ちょっと待って! 今の質問はなかったことにして」

 

 と介入してきたのでした。私はそれはおかしいと思ったのですが、和田氏の不規則発言はとにかく、村山氏が「……」と何も答えないので、そのやりとり自体が成り立たず、短いインタビュー記事には経緯を載せられませんでした。

 

 一方で、村山氏に「国交のない北朝鮮慰安婦問題についてはどう取り組むか」と、やはり基金の対象外の北朝鮮のことを聞くと、

 

 「日朝国交正常化の最大の課題は過去の清算だ。単に植民地支配に対する請求権だけではなく、強制労働や慰安婦の問題などがある。北朝鮮の場合は、国の体制からいっても、問題はすべて一括して政府間の正常化に向けた話し合いの中で解決するんじゃないか」

 

 などとスラスラ答えるので、ああ、この人たちにとって自国民である日本人慰安婦の存在はタブーになっているか、あるいははなから何も考慮していないのだなということが分かりました。前原氏の、安易に韓国にだけ何らかのサービスをしておけばそれで済むというかのごとき論調を聞いて、ふと10年以上前の記憶がよみがえった次第です。

 

 この問題は引き続き注視したいと考えています。

 

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とりあえずご報告まで

2011/10/06 18:32

 

 

 ちょっとご無沙汰しました。首相官邸キャップ業務を終えての10月からの新担当についてのご報告が遅れましたが、別に管理職にしてもらったわけでも昇進したわけでもなく、政治部で現場記者のまま「外交・安全保障統括」という自分でもよく分からない立場となりました。

 

 要は、外務省防衛省担当の後輩記者を助けて、後は自分でネタを見つけてこい、そして結果を出せというわけで、これはこれで非常に望むところでありました。上司には、以前から遊軍的な立場にしてほしいと願い出ていたので、ある意味、希望をかなえてもらったとも言えます。自分で仕事を見つけて自分で取材に行くという記者として当たり前のことが、煩わしい手続きの多いキャップ業務(管理職もどき)の後ではけっこう新鮮です。

 

 多いときには1日100本近い携帯の連絡メールのチェックに追われ、打ち合わせや会議が多く、じりじりとする待機時間ばかりが長く、自分で取材するよりも後輩記者に指示してやらせなければならない前職に比べ、自由に動けて自分で現場に行く機会が増えるのは単純に嬉しいものです。

 

 10月に入り、2日には日帰りで高知に、4日、5日は福岡にと出張に出ていたほか、挨拶回りやら何やらでパソコンの前に座る時間があまりなかったのでご報告が遅れました。歩く時間も増えそうなので、官邸時代にストレスと趣味からの暴飲暴食でふくれあがったメタボ体型についも、ついでに少し改善したいと。

 

 近く、海外への同行取材の機会もありそうなので、いろいろとこのブログでも報告できるかと思います。とりあえず今は、あれこれと新たに勉強しなければいけないことと、思い出さないといけないこととがあってバタバタしています。それではまた。

 

 ※エントリの主題からは外れますが、きちんと手続きを経て始まった初公判の場で、無罪を主張するのはいいとしても「直ちに裁判を打ち切るべきだ」と主張する被告の傲慢不遜さはいかばかりか。こういう人の口から出る「民主主義」という言葉の何と安っぽいことか。結局、「オレがすべての基準であり、オレがすべてを決める」と思い上がっているだけだと思います。

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