ここしばらく、あまり話題にならなくなりましたが、本日はまた政治家の政治資金収支報告における事務所費の問題を取り上げようと思います。ここ数日の国会質疑を見ていて、どうも民主党は、当初は批判していた自民党の伊吹文明文部科学相の説明に納得しているようだとの印象を受けているからです(松岡勝利農水相に対してはまだそうでもないかもしれませんが)。
今国会当初、民主党は自民党の政治とカネの問題を徹底追及するしていましたから、ちょっと不思議な感じもしますね。さて、まずは一般のテレビ中継のなかった16日の衆院予算委員会における民主党の小川淳也氏と伊吹氏のやりとりを紹介します。小川氏は旧自治省に入省し、総務省課長補佐などを経験したいわばこの問題の専門家みたいな存在です。
《小川氏 伊吹大臣は不適切な経理はないと主張しているが、不適切かどうかではなくて、中身を教え、説明してほしい。
伊吹氏 率直に言って、私はなぜ疑惑とか不適切とか私の事務所費について言われるのか今も疑念を持っている。小川さんの質問に答えることで、このことが各党の政治家の活動を不公平に公表することになったり、選挙に大変な影響を与えていることが国民に分かる。説明するが、私の政治団体は5万円未満のものも領収書聴取義務ないが、基本的にすべてとっている。ない場合も、領収書等とあるが、払い出し伝票、だれにいつどう出したか、香典3万円持って行って領収書出せとは言えない、こういうことも誰が誰に払い出したかを全部とっている。
まずこういう紙が先生の所にもきている。18年度の収支報告書。事務所の借料、もろもろ。私は人件費も入っている。人件費は政治団体職員に支払われる給与、報酬など。土日にほとんど帰れないときに、車を運転する人を休ませるほど余裕ない。外回りの秘書が帰ってきたときに運転させる余裕もない。非常勤を雇うことはよくある。選挙の準備活動で、きちっと政治活動をしなければならない。11万の名簿整えチェックする。この人件費は経常経費の人件費では読みとれない。どこに入るか自治省に聞いてここに入れている。コピーはリースなので購入費に入らない。交際費も入れて、法違反だと言う幹部もいるが、他団体との交際に要する費用は、ここに入っている。東京の秘書が地元に来たって回る。それも他団体との交渉ではない。だからここに入っている。そういうのを積み上げてこうなっている。東京と京都に明風会という私名義の2つの事務所。賃料積み上げるとこうなる。通信費も11万人に年2回新聞出している。組織活動費に入れろと言うから、入れている。毎年3万5000人にハガキを出しているが、組織活動費に入れている。小川委員が参考にしたいから経理を見せてくれと言えば、いつでも見せる。
ただ、どうしてこれが始まったか。1月2日の赤旗で、事務所が議員会館でタダだとずらーっと出た。鳩山幹事長が言うのは正しい。一種のレトリックだと。いつでも見せるが、量が多いなら公表するというなら、某党の幹部は10いくつ団体持っている。事務所費全部足して多いか少ないか論じて。自民・小野次郎議員が質問したように、共産党は資金管理団体、政党支部を持っていない。政党の本部と支部でやっている。私は共産が強い京都だからよく知っている。1億数千万円ある。私は注意深く答弁している。すべての政党が公表するならば、喜んで従う。そうでないと、その人の選挙準備活動を、だれかが批判したら白日のもとにさらされる。だけど疑惑がだれが判定するのか。国会で判定しないと。
法にのっとって積み上げているから、ここで細かに、資金管理団体の事務所費が多いからと言って公表すると、政敵を追い落とすトリックはいくらででもきる。
小川氏 最初からそう説明すればいいのに。本会議場で志位に対し、疑惑があるから答えるのは法律上やや問題あると言ったから、何かあると思う。法律上問題あるとは何か
伊吹氏 法律上、詳細を公開しなくてもいいんです。先生も自治省出身でかつて所属した部署が担当。事務所費は一括計上でいい。ところが、主たる事務所を置いているからタダだという一時をもって疑惑があるから、法律で許される事務所費の非公表を、タダだという誤った認識で出すのは政治資金法上、無理があると。
小川氏 公表しないことは問題ないだろう。でも公表しても問題ない。誤解招くような答え方しなければよかったのに。伊吹大臣だから言っている。事務所費、賃料、通信費、4000万円ぐらいですねえと言えば良かった。いろいろ言うからこじれてくる
伊吹氏 これはね、法律では、公表しなくていいんです。公表しなくていいものを主たる事務所を会館に置いているから疑惑があるから公表しろというのは政治資金規正法からいってやや問題あるのではないかと。グレーゾーンはいっぱい出てくる。地元の同窓会に行くのは政治活動か、個人の活動か。どちらにつけるかは、政治家同士のつきあいでも、情報交換の名目つければ政治資金で落とせるかもだが、ゴルフばっかりして政治活動かといわれれば、私の性格からしてポケットマネーでやっている。
小川氏 言っていることは、そんなに違わない。私は法律上公表する必要はないし、主たる事務所云々もその通り。主たる事務所に事務所があったほうが当然いい。疑惑のうける話ではないと堂々といえばよかった。公表しろとかではない。
伊吹氏 見たいなら、どうぞ。喜んでみせる。自民党にも教える。ただ、このことよく理解して。鳩山幹事長言うように赤旗のレトリックは崩れている。多いから出せといったら、多い人はみんな自分の政治活動を公表させられ、政党でやっている人は公表しなくていいというのは、政治活動を平等に国会で審議する意味で不適切だから、公表したくても不公表の引き金をひくことはできないと言っている。
小川氏 私が大臣だったら、周到に見極めた上できちんと説明する。
伊吹氏 自分1人いい子になったり、パフォーマンスしたりしたくなることはあるが、それで大きなルールが崩れる場合はつらいが我慢しなければならないときもある。なぜ疑惑や不透明と言われるのか不思議だ。きょう質問してもらって、本当にうれしく思っている。》
伊吹氏が言及した「鳩山幹事長が言うのは正しい」というのは、鳩山氏が以前の記者会見でこの問題について、「赤旗に、主たる事務所を国会議員会館に置いても他の事務所の分もあるのだから、問題がないことをあるように仕掛けられた」という趣旨の発言をしたことを言っているのでしょう。
それで、上の質疑の中にも出てきた自民党の小野次郎氏(警察庁出身)の質問とは、次のようなものです(14日の衆院予算委員会)。まだあまり注目されていませんが、自民党は以前から、共産党の政治資金の扱いはおかしいのではないかと、たびたびちくちく言っています。
《小野氏 与野党とも政治資金の透明性高める議論の中、政党によって取り組みに温度差がある。共産党の政治資金収支報告書のあり方について。志位委員長、穀田国対委員長について、本人が代表を努める政党支部、資金管理団体の登録なされているか
総務省・久元喜造選挙部長 総務大臣、神奈川、京都選管に確認したら、志位、穀田が代表の政党支部、資金管理団体はない。
小野氏 ふつうの政治家と違うと疑問だ。調査では、日本共産党は府委員会、その下の15の地区委員会で支出されている事務所経費は1億数千万円に上るとのデータがある。京都府委員会、下の15の地区委員会で政治団体の届け出、政治資金主右飛報告書は届け出あるのか。
久元氏 京都選管に確認したら、いずれも共産党中央委員会の支部として政治団体の届け出なされている。いずれも17年分の収支報告書提出されている
小野氏 政治資金の透明性が議論になっているが、共産党国会議員は各人代表の地元の政党支部がない。政治資金管理団体も置いていないなら、各人が使用する日常の事務所経費は府委員会などの経理の中で処理しているということ。各政治家ごとの収支実態がまったく見えてこないので問題だ。もし事実なら共産党は他の政党の政治資金管理団体と同じ土俵にのせて府委員会などの事務所費の詳細を明らかにする必要あるのではないか。この際、与野党とも政治資金の透明性を高めて国民の期待に応えていくべきだ。》
小野氏の指摘はけっこう本質的な問題を内包しているような気もします。政治資金収支報告の趣旨は、政治家の政治資金を不断の国民の監視の下に置くことですから、この点は共産党にも考えてほしいところです。
さて、最後に13日の衆院予算委における民主党の馬渕澄夫氏と伊吹氏のやりとりです。馬渕氏は手厳しい質問で有名ですが、やはり伊吹氏にある程度理解を示しています。
《馬渕氏 今国会の大きな課題である政治と金の問題。古くて新しい常に国会でも取り上げられる課題だが、これも事務所費問題として大きくマスコミで取り上げられた。これも国民に説明責任を果たすことが政治不信払拭し、未来に続く政治を実現する大事な課題だ。伊吹文明文科相、松岡利勝農水相の2人が30日の衆院本会議で、多額の事務所費支出をめぐり領収書などの自発的公開について制度上の不備を理由に現時点では応じないという考えを示している。代表質問の中で、小沢一郎民主党代表は支出の詳細だけでなく領収書、関係書類も含めていつでも公開する用意があると言っている。改めて聞くが、2人はその発言の中で法律の通りやっているからいいと、自発的関係書類を出すことで国民の不信を払拭する必要がないという発言をしているという理解でいいのか。
伊吹氏 まず、本会議で言ったのは私の収入と支出はすべて帳簿にきちんと記載されていると。そして、その政治資金規正法と1つ1つの項目について疑義がある場合には、当時の自治省、総務省に訪ねて報告し、公開していると。したがって、私の主たる事務所はなるほど議員会館に置いてあるが、京都の事務所は東京でいえば丸の内みたいな所で、200平米の事務所を借りている。これがどの程度の時価かは前原誠司さんに聞いてもらえば分かる。そして、東京の事務所も外にある。だからこの問題の発端になった、ある党の機関誌が、その主たる事務所を会館に置いているという一事を持って経費が多額だから疑惑がある、だから公開しろというのは無理があるといった。
しかし、私はその後言ったのは政党あるいは政治家で一定以上の事務所費を持っている人たちがすべてみなそれを公開するというのであれば、私は率先してそれに従いますと言ったので法律通りやっているから、どうでもいいなんていうことは私はひと言も言ってないですよ。
これから大切なことを申しあげます。馬淵さんは平成15年の当選だから、平成6年のときの政治資金規正法の資金管理団体をつくったときの議論をずっとフォローしてもらいたい。私は党内でこれに参画していた。その時はすべての入と出を資金管理団体に集中することによって、もう一方の選挙区支部と併せて政治家の政治活動を透明化するということになっていた。
ところがいくつもの、たとえば地元の後援会団体を別において、地元の後援会活動をそこで行って資金管理団体からそこへ資金を投入しておけば事務所費が二分されるのではないか。そして、ある党は資金管理団体も政党支部も何も置いてない。すべて政党が一括管理している。私の地元では、その政党の事務所費だけで1億6000万円ある。これもすべて合わせてきちんとしてもらわないと、このことはその政治家の政治活動の自由という言葉は国民のためには使いたくはない。政治活動ということで一般の人と違うことをしていると思われては困る。しかし、政治活動はすべて平等でないとならない。ある政党だけが、ある政治家だけが資金の内容をすべて公開するというのは選挙の準備活動など政治活動をすべて公にしてしまうということでは困るんですよ。
たとえば、皆さん方のところへ、いよいよ18年度の収支報告をしないとならないから、収入支出項目の分類表が来ているが、これを見たら非常勤の人件費をどこに入れるのか。人件費というところには政治団体の職員と書いてある。例えば当該団体内の渉外費はどこに入れるのか。そういうことを、すべてきっちりと総務省に問い合わせて私の事務所は積み上げてある。だから私的な経費を政治資金として報告するということは、政治資金収支報告ではありえない。グレーゾーンみたいなところは私の性格からしてすべて自費でまかなっている。だから、疑惑と言われることは一切ありません。
馬渕氏 伊吹文明文科相は当初、この問題が発覚した時点からご自身の言葉で説明していた。都内と京都に事務所があり、家賃2000万円が含まれていると事務所がいった。(中略)さまざまな政治活動を行っていることは十分に理解できる。》
今後、この問題はうやむやのうちに沈静化していくのか。それともブーメランは共産党に向かうのか。それにしても、民主党の小沢一郎代表が1月29日に領収書や関係書類を出すと明言してから随分たちますが、一体どうしたのでしょうか。まさか国民がこの問題から関心を失うのを待っているとか。
現在、民主党は1万円超の支出はすべて領収書を必要とする案をまとめ、自民党は資金管理団体による不動産取得は禁止する案をつくったようですが、両党間や国会で今後、この問題はきちんと協議・議論されるのか。忘れずに、きちんと見ていようと思います。


by hoisassa
東京を離れて署名してきました…