思えば昨年12月ごろから、毎日のように政治とカネ、特に事務所費の問題が取り上げられています。もううんざりなのですが、こういう機会でもないと、政治資金収支報告のあり方など考えることはないので、勉強にはなります。分かったことは、つくづくといいかげんな制度だなということぐらいですが。
この問題では昨年末に佐田玄一郎前行革担当相が、政治資金収支報告書上、不適切な処理をしたとして辞任し、今年に入ってからは自民党の中川昭一政調会長、伊吹文明文科相の事務所費が巨額だと話題になりました。その後、巨額といえば、民主党の小沢一郎代表が突出していて、さらに計10億円を超える自分名義の土地・建物を買っていることが発覚し、さらに角田義一前参院副議長に至っては、朝鮮総連傘下団体からの献金を収支報告書に記載せず、裏帳簿で処理していた疑惑が浮上しました。
で、最近は松岡利勝農水相の光熱水費がおかしいと、野党が追及していたところに、今度は民主党の中井ひろし元法相も高額の光熱水費を計上していたことが報道されました。もう勘弁してくれ、と言いたくなるほどです。
政治資金のおかしな処理では、過去にはこんなこともありました。民主党の輿石東参院議員会長が顧問(役員)を務め、選挙の年(平成16年)には輿石氏に3000万円もの献金をしていた山梨県教職員組合の政治団体、山梨県民主教育政治連盟の件です。
この団体が、選挙のたびに「校長3万円、教頭2万円、一般教員1万円」と選挙資金カンパを募って大金を集めていたことは有名ですが、政治資金収支報告書上はほとんど毎年、寄付金は「ゼロ」になっています。また、輿石氏の選挙があった年には数百万円程度の献金が記載されていますが、実際に集めたお金は数千万円にはなるでしょうし、計算が合いません。どうも、資金カンパ分を「会費」に計上していたようですが、テキトーなものです。
話が余談に流れたかもしれませんが、要は使ったカネをどの項目に計上するかは、会計責任者次第でかなりいいかげんなものであるようです。中井氏の件でも、花代、タクシー代などの分を光熱水費の欄に入れておいたそうですし。そこで、松岡氏の光熱水費の問題で、12日の参院予算委員会でちょっと興味を引くやりとりがあったので紹介します。
《櫻井充氏(民主党) 大臣のところの議員会館の水道代は誰が一般的に負担しているものか
松岡氏 議員会館の水道代はこの前、民主党の方が参院の事務総長にお尋ねで確認をしていたと思うが、私もその通りだというふうに思っております。それは参院であれば参院、衆院であれば衆院が負担しているというふうにお伺いをいたしております。
櫻井氏 電気代はどうか。光熱費はどうか。
松岡氏 電気代も同様だというようにお伺いいたしております。
櫻井氏 光熱水費そのものが本来はゼロ円で計上されなければいけないものに対し、数百万で計上しているのは不適切ではないか
塩崎官房長官 政治資金規正法にのっとってわれわれは正確に報告をするというのが政治資金規正法の趣旨であって、それにのっとってやられているものがわれわれの報告であるはずでございます。
櫻井氏 政治家が虚偽記載をした場合には政治家の行動として不適切だと思うか
塩崎氏 虚偽記載は違反であります。
櫻井氏 仮に虚偽記載をしている人がいたとしたら大臣としてふさわしいと思うか
塩崎氏 仮定の問題には答えられないというところでございます。
櫻井氏 もし仮に国会で虚偽の答弁をされている場合には法律上何か問題があるか
宮崎法制局長官 ごく般論として答えるが、国務大臣は憲法第63条で「議院で答弁または説明のため出席を求められたときは出席しなければならない」という義務が課せられているところであり、出席をする以上は国会において誠実に答弁をすること責任を負うていることは当然であるというふうに従来も述べております。他方、国務大臣が先に申し述べたような義務に違反した場合に、どのような責任を負うかについては憲法上特段の規定は設けられていない。
櫻井氏 その場で虚偽の答弁をしてもいいということになるのか
宮崎法制局長官 お尋ねの問題については国会内の問題であり、国会の中でご審議、ご議論すべき問題というように承知しており、私どもとしてはお答えすることではないと思う。
櫻井氏 確認だけしておくが、それを規定している法律なり規則はないということか
宮崎法制局長官 お尋ねは、国会における虚偽の答弁そのものについてこれを直接法律的に責任を問うということについてだと思うが、それは今のところ、見当たらないということだ。
櫻井氏 これは今はじめてわかったことで立法不作為の、われわれもきちっとしていかないといけないことなんだなあと。そうでないと何を自由に発言しても結果的にいいということになってしまう。そこはわれわれ考えていないといけないことだ。》
松岡氏が果たして国会で虚偽を述べているのかどうかは分かりませんが、仮にウソをついていたとしても、その責任を問う法令上の根拠はないということですね。まあ、確かに憲法51条には「両議院の議員は、議院で行った演説、討論または表決について、院外で責任は問われない」とありますね。
実際、松岡氏が税込み1本5250円もする「ナノクラスター有機ゲルマニウム水」か何かを毎日2、3本も飲んでいるのかどうかは、だれしも疑問に思うところでしょうが、仮に飲んでいなくても、法律上はOKだということになるようです。ふーむ。さて、次は社民党の福島瑞穂氏と菅義偉総務相とのやりとりです。
《福島氏 政治資金規正法施行規則上の光熱水費の定義は
菅氏 光熱水費とは政治資金規正法施行規則の別記第7号様式によって電気ガス、水道の使用料およびこれらの計器使用料をいうとされているところだ。
福島氏 私がおいしい水を飲み続けるのは消耗品になりますよね
菅氏 総支出項目別金額の記載にあたっては、会計責任者が事実に即して適切に支出を分類し、それぞれ該当項目を提出することになっている。
福島氏 おいしい水を飲む、浄水器、ストーブは光熱水費に当たるか
菅氏 電気、ガス、水道以外のものが光熱水費に計上されることはありうると考えています。
福島氏 どういうものか
菅氏 これは非常に難しい話だが、たとえば冷暖房の燃料費だとか、ミネラルウォーターだとか、そういうものの判断は非常に迷うところであると思います。
福島氏 ミネラルウォーターは水道の使用料にはならない。
菅氏 使用料にはなりません。(光熱水費等の)「等」の中であります。
福島氏 光熱水費の内訳は
松岡氏 内訳については現行の法制度ではそこまで報告が求められておりませんので、ここで申し上げることは差し控えさせていただきたい。
福島氏 規正法の目的は政治活動が国民の普段の監視の下に行われるようにするためというのに明確に違反している。規正法9条で会計帳簿、支出簿が義務付けられている。支出簿の提出を求める
松岡氏 規正法上求められているものについてはすべてその通り提出をし、報告をしている。それ以上の対応については、私だけの判断でそれを求められても答えることは困難だ。これは各党、各会派において協議の上、その上でどういう対応、扱いになるのか、ということが決まった上でのことだと思っている。
福島氏 国会議員、大臣として説明責任を尽くすべきだと思わないか
松岡氏 それはもう法律に基づいて対応することが基本だし、そのように対応したいと思っている。
福島氏 規正法9条は支出簿などを備えることを命じている。それの明示を求めたい
松岡氏 法の定めに従って対応したい。もうすでに法で求められているものについてはすべて対応している。
福島氏 今委員会で支出簿の提出を求めたい
尾辻予算委員長 後ほど理事会で協議する。
福島氏 高熱水費が乱高下している。2005年までの11年間の合計4476万円が年度によって違う。光熱水費がなぜこんなに変わるのか
松岡氏 報告を致している通りであり、その内容にわたることについては、今の法制度ではそこまで求められいない。これは私だけに特別、法を超える形で求められてもその対応は困難。それを求めるなら国会なり全体でその対応を決めていただいて、その上で私も対応するということになると思う。今にわかに福島先生のいうことにお答えするような法制度にはなっていない。
福島氏 規正法の目的のため、大臣として説明責任を尽くすべきではないか
松岡氏 法の下ですべてその責任は果たしていると思っております。
福島氏 光熱水費は国会は無料だ。もし虚偽記載なら規正法の刑事告発の対象だ
松岡氏 これははっきり申し上げるが、虚偽記載は一切ない。したがってもうすでに法に定められた責任は果たしている。》
はっきりしない部分もありますが、菅総務相の答弁によると、おいしい水のペットボトルは光熱水費として計上しても問題はないということでしょうか。最初から収支報告書の項目分けが幅を持たせたものなので、グレーゾーンはいくらでも考えられるということかもしれません。
それと、松岡氏が強い口調で「虚偽記載は一切ない」と断言していることが気になります。まあ、これが仮にウソか記憶違いだとしても、上に書いたように法令上の責任は問えないのでしょうが、ここまではっきり言えば道義上の責任は免れないでしょう。よほど自信があるのか、それとも何なのか。
現在、松岡氏は自分だけ特別な対応はできないと突っぱねていますが、開き直ってこの「おいしい水」の領収書でも出してきたら、これまで追及してきた野党側はどう対応するのでしょうか。政治資金の使途として、健康飲料がふさわしいかどうかという点にはまだ疑問が残りますが、政治資金で不動産を買い続けた人もいることだし…。
松岡氏の答弁については、政府・与党内からも高市早苗少子化担当相や公明党の北側一雄幹事長らから「わかりにくい」と苦言が飛び出していますが、どう決着するのでしょう。私自身は、だんだん「もう何でもいいから早く決着させて、もっと大事なことを国会で論議してくれ」という、いいかげんな気分になってきました。


by akizuki
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