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8年前に敵基地攻撃能力に言及していた安倍氏

2006/07/19 07:00

 

 今回の北朝鮮によるミサイル連射で、敵基地攻撃能力保有論が突然出てきたようにいう人がいますが、それは事実誤認です。北朝鮮テポドン1号を発射した平成10年9月18日の衆院安全保障委員会でも、当時は無役だった安倍晋三氏は、その必要性を訴えていました。

 

 安倍氏についてはよく、雑誌などで小泉首相の路線を引き継ぐだけだという評価を目にしますが、果たしてどうでしょうか。外交、安全保障、教育に関心が薄く、「思想がかった話がとにかく嫌い」(公明党幹部)とされるリベラルな小泉氏と違って、安倍氏は歴史と伝統を重視する正統保守派であることは間違いありません。

 

 無役のときから、ベテラン議員たちの嘲笑を浴びながら北朝鮮問題に取り組んできましたし(私は、官房長官時代の野中広務氏と副長官だった鈴木宗男が、安倍氏の言動について「ああいうはねっかえりはどうにかしないと」と談笑しているのを見たことがあります)、教科書正常化を目指して議連活動も熱心に行っていました。

 

 安倍氏は割と長幼の序を大事にする人なので、勝手に甘く見ている政治家が多いのでしょうが、おそらく首相になれば小泉さんとは全然違う施策を打ち出してくるだろうなと思います。

 

 ともあれ、8年前の話です。安倍氏の質問に答弁したのは、偶然にも今と同じ額賀防衛庁長官でした。以下、主なやりとりを記します。

 

 安倍氏 「当然わが国も、もしミサイルを発射された、またあるいは航空戦力によって攻撃されたというときには、報復をするということにおいて抑止を果たすことができるのであろう、こう私は思います。(中略)安保条約いかんにかかわらず、わが国にとって報復することが合憲であるかどうかについて、ご見解をいただきたい」

 

 額賀氏 「昭和31年の政府見解は、私も法理論上は生きているものと考えております」

 

 安倍氏 「安保条約5条は、具体的に日本が攻撃されたときにアメリカが報復をするという、義務規定ではないわけであります。その場合においては、わが国が報復する能力を持っていなければ、抑止力の穴があいてくるのではないか。日米安保条約というのは信頼関係の上に成り立っているわけでありますが、ただ、(米国が)報復をするかどうかという判断ははっきりしない範囲がある。もし万一北朝鮮からミサイル攻撃や航空機攻撃があった場合、その基地をたたく能力は自衛隊にあるかどうか。例えばF15あるいはF2によって、たたく能力があるか現在の段階でお伺いしたいと思います」

 

 額賀氏 「特定の国の名前を挙げて議論することはいかがなものかと思いますが、全体的に、日本が装備しているものは攻撃的なものはありません。また、法律上も専守防衛ということで成り立っておりますから、ご指摘のように、あらゆる場面において万全の攻撃態勢がとれるという状況ではないと思う」

 

 安倍氏 「この状況は少しおかしいのではないか。すべて米国の若者の血と生命によらなければわが国の生命と財産が守れないかもしれないということになります。例えばF15なりF2なりが、今ないわけではありますが、空中給油機を使ってその足を延ばして、第2次攻撃を防ぐためにその基地を攻撃することは果たして合憲であるかどうかについて伺いたい」

 

 額賀氏 「空中給油機を保有、運用したとしても、現在の自衛隊は敵の基地を攻撃する目的に装備体系をしているのではないので、敵基地に対し軍事的な有効な攻撃を行うことはなかなか難しいのではないか」

 

 ‥このやりとりから8年もたつのに、日本の防衛の現状はあまりに変化していないようなのが残念です。ですが、これだけ安全保障に関心を持った人物が総理・総裁候補となるのはいいことでしょう。日米同盟の大切とその限界の両方を踏まえた発言だと読み取れます。

 

 少なくとも、防衛庁長官経験者でありながら、特定アジアの意向を踏まえてか、閣僚の敵基地攻撃能力の保有論について「憲法違反だ」との根拠のよく分からない批判を加え、封じ込めようとした山崎拓氏よりは、100倍見識があるのではないでしょうか。

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コメント(14)

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2006/07/19 09:47

Commented by ポコポコ さん

安倍は、爺さんに似ているのでしょう。
小泉は「思想がかった話がとにかく嫌い(公明党幹部)」といっている公明党幹部がバカなだけでしょう。
小泉は問題の本質・要点をすぐに理解してしまっているから、よけいな議論が不要なのでしょう。一種の天才肌。

 
 

2006/07/19 10:29

Commented by 阿比留瑠比 さん

ポコポコ
 小泉さんの勘の良さは超一流だと思いますが、本当に勉強は嫌いのようです。

 
 

2006/07/19 10:53

Commented by - さん

9月の総裁選は、権力闘争だと言った小泉さん。
阿倍さんには、知力と体力をさらに蓄え、権力闘争に打ち勝っていただきたいと思います。

 
 

2006/07/19 11:24

Commented by 阿比留瑠比 さん

車好き隠居様
 権力を持たなければ自分の政策も実現できない。それが政治の世界(というかどこの社会でもそうか)の原則ですからね。小泉さんは政局をじっと見ているのでしょう。安倍さんは世間のイメージよりずっとしたたかな人だと思います。

 
 

2006/07/19 13:42

Commented by 小龍景光 さん

私も安部さんへの期待は大変大きいです。私の周りにも安部さんにはあまり期待できないと考えている向きもたくさんいますが、少なくとも拉致問題を中心にした特定アジアに対する外交姿勢には大いに期待しています。

山崎氏ごときと比べてしまっては安部さんがお気の毒では?

 
 

2006/07/19 13:56

Commented by 阿比留瑠比 さん

小龍景光様
 そうですね。比較対象の選択が間違っていました。

 
 

2006/07/19 15:10

Commented by こぬま さん

安部晋三さんのお父様は政界のプリンスと言われ続けていたが早くに病に倒れた。
晋三さんは早めに総理になって欲しいです。

団塊の世代には失望するばかり。
加藤、山崎、小泉仲良しとか言われましたが、
負けると分かっていながら総裁選に挑戦していたのは小泉さんでした。
だからこそ総理になれた。
良い面悪い面色々あるけど今までの総理とはチョット違った選択をした。良い意味で頑固。
これが朝日的な人達には気に入らなかったようですが。彼らの最大の嘘、北は良い国だという仮面を引き裂いてくれました。有り難かった。
それに支那に行かなかった、これ大事ですね。

安部晋三さんは早くから北朝鮮問題などに取り組んだ政治家であり、やはり今の自民党の中では本来の自民党の政治家像に近い気がしています。
団塊の世代の人は自民党と言うより市民党のような気がします。世論に迎合する事ばかりで芯がない。
そればかりか、ややもすれば旧社会党的な発言すらある。自民党の票が逃げたのは団塊の世代が本来の自民党像から離れたからです。
マスコミやらに迎合する政治家など不要。

朝日や評論家と称する訳の分からない人、キャスターと称する意味不明な人、マルクスの思想に染まりきった大学教授。
これらの人達から罵声を浴びて初めて自民党政治家と言える。彼らが反対する事は正しい事が多い。
これはチョット昔に戻れば分かる事実ですから。

 
 

2006/07/19 15:24

Commented by kinny さん

阿部長官は日本の今日のために必要な最大の人物である。一点、森派議員の特徴とも言える、飄々とした明るさが今ひとつないのが気になるといえば気になる。

後は地方分権だ。おじいさまは悪名高い「株式会社法」の指揮者であり、アカとしての投獄暦もある国家社会主義的統制経済の信奉者であり創造者でもあった。旧内務系から見れば、満州の経済官僚が陸軍と手を結び、結果戦後の日本をもっとも倫理的に荒廃させた元凶である。ゴーストップ事件など我々国民にも非はあった。日ごろの鬱憤を陸軍を使って晴らすようなことをしているうちに、統制主義者に日本を乗っ取られてしまった。しかしそれらを風呂敷包みに包んで糾合し、統制国家を現出させた罪は重いと小生は考えている(統制経済が戦後の復興を助けたという人は多いが、小生はそうは思わない)。

その孫に正反対の地方分権ができるのか?
小生の最大の疑念はこの一事につきる。
極端な中央集権を改め、地方分権が成されなければ、いつまでも日本は先進国内で二流のレッテルを貼られ続ける。これは本当のことだ。

もしよければ阿比留さんのお考えをお聞かせ願えまいか。

 
 

2006/07/19 15:55

Commented by 阿比留瑠比 さん

kinny様
 これは私の個人的意見で、社論とは関係ありませんが、現在の市町村・都道府県制度のもとでの地方分権というのは実は難しいのではないかと思っています。ここ数年で市町村合併が進んだとはいえ、行政単位が多すぎて非効率かつ人材の有効活用が難しいと。私は地方地方の地名や伝統文化を大切にしたいと思う者(私自身、田舎者で郷土に誇りがあります)ですが、私見ではまず、県という行政単位はいらないのではないでしょうか。道州と、四、五十万人以上の地方都市が直接結びつくような形でないと、地方分権は成り立たないように思えるのです。
 今の政界で、地方分権に異を唱える人はまずいません。ですが、みんな本気で分権を考えているかというと、真剣さに欠けていると思います。私も、自分が言ったような行政単位になったときの過疎地や遠隔地の問題などでまだあまり考えてないことが多いので申し訳ありませんが、こんなところでしょうか。
 あと、地方分権を強力に実施する場合、教育の機会均等をどう確保するかを考える必要があります。みんな仕事を持っていて、その地域の教育が気に入らないからと簡単に転勤なんてできませんからね。うーん。枝葉の議論になったかな。すいません。

 
 

2006/07/19 16:41

Commented by ぜろ坊主 さん

皆さん安部総理に期待するところ大ですね.私も同じですが,マスコミや国民の腹が据わっていないと,安部総理を2階に上げてはしごをはずすことにならないか心配です.
たとえば,北朝鮮からミサイルが飛んできて,大きくないがある程度の被害が出たとします.しかし,発射の直後に「間違って発射してしまった.ごめんなさい」というメッセージが来たら,少なくともまず発射基地を破壊すべきと思いますが,政治家がその決断ができる状況でしょうか.おそらく,何も報復せずに話し合いに入るのではないでしょうか.そうすれば北朝鮮は「わが国は将来とも失敗しないとは言い切れない」というブラフカードを手に入れることになるでしょう.
靖国問題でも「A級戦犯を許さない」と言う人が,保守陣営にもたくさんいますが,A級戦犯の責任を厳しく言い立てる人は,日本が上のような軍事行動を起こすことができない決断した人に紛争被害者に対するA級責任者と言い立てるでしょう.そんな状況で報復攻撃の命令を出せる政治家が出るでしょうか?上述の北朝鮮の仮定の話よりも,尖閣諸島や竹島付近の海洋調査に絡んで,似たようなことが起こる可能性は極めて高いと思われます.
 侵略を辞さない隣国に囲まれて居る状況では小規模の戦闘すら恐れていては平和は保てないでしょう.

 
 

2006/07/19 16:46

Commented by ぜろ坊主 さん

すみません.文が切れていませんでした.少し訂正させてください.
「日本が上のような軍事行動を起こすことができない決断した人に紛争被害者に対するA級責任者と言い立てるでしょう.」と書いた部分を,
「日本が上のような軍事行動を起せない状況を作っています.決断した人は紛争被害者に対するA級責任者だと言い立てることでしょう.」

 
 

2006/07/19 17:34

Commented by 阿比留瑠比 さん

zero-bouzu様
 保守陣営には、加藤紘一氏や山崎拓氏のような人がいて、「われこそは保守本流だ」とのたまっています。今でもそうですが、有事には今以上に日本の足を引っ張ることにならないかと心配です。侵略を辞さない国…。まさに特ア諸国ですね。

 
 

2006/07/20 00:33

Commented by - さん

izaでは敵地攻撃能力保有論が圧倒的ですが(私も)、
多くの人たちも安倍さんと同様に
今回の件があったからってわけでは無いと思うんです。
皆さんそれぞれが前から思っていて、
それぞれが時折言ってはいたんだと思います。

今回、北朝鮮という一つの問題に対して、
全員で同時に意見を言ったから目立ち始めただけで、
それを何か突然湧いたような論調で報じるメディアには
腹立だしさを感じます。

どちらが論理的でどちらが感情的なのか、
それこそ論理で考えればわかる事でしょうに。

しかし、こういった時期に安倍さんや麻生さんがいた事、
また両氏が総裁候補に上がってる事は、
すごい運が良かったように思えます。
まして最有力ですから。

 
 

2006/07/20 07:44

Commented by 阿比留瑠比 さん

GIEN様
 そうですね、時代の要請なんでしょう。その意味でも、福田氏や山崎氏にはぜひ、総裁選に出てほしいものです。出てもらったうえできっちり破れば、政権と主張の正統性は増しますからね。

 
 
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