今朝の東京新聞に載っていた共同通信の世論調査によると、参院選で重視する問題の中で、「政治とカネ」が前回調査より4.2ポイント増えて23.7%と、「年金」(53.6%)に次ぐ2位になったとありました(二つまで回答)。…まあ、確かに昨年末からこれまで、この問題をめぐってはさまざまな出来事がありました。いろんな名前が浮かんでは忘れられ、重要な問題も、何だかよく分からない話もありましたね。でも、一言で「政治とカネ」と言っても、アンケートに答えた人によって、思い浮かべた具体事例は異なるのでしょうか。それとも、やはり直近の赤城農水相の件を考えているのか。
ところで、私は今年の1月12日からこの「政治とカネ」に関係する各紙の記事をスクラップしていて、大学ノートで4冊目になっています。なんでそんな半端な日付けなのかというと、その日に思い立ったというだけで、特に意味はありません。そこで本日は、「政治とカネ」にかかわる朝日新聞の社説15本について取り上げます。あくまで私がスクラップしている範囲なので、見落とした社説もあると思います(裏面に必要な記事があった場合、そっちを優先しているし)が、まあ大体の流れは分かると思います。まずは…。
・1月13日付社説 「事務所費の怪 納得できる根拠を示せ」
対象 伊吹文明文部科学相
言葉遣い この説明は通らない▽飲み食いした代金までこれで処理できると解釈するのは強引すぎる▽全くおかしな説明だ▽そんなルールは、法のどこを探してもあるはずがない▽「手間がかかる」というのは言い訳に過ぎない
=そうなのですよね。この問題は年初早々、まずは不自然な「多額な事務所費」問題として浮上したのでした。そして、伊吹氏や自民党の中川昭一政調会長の事務所費について、国会議員会館を「主たる事務所」としているのに、「何でそんなにかかっているのか」という疑惑が指摘されました。ただ、この件については、伊吹氏が議員会館のほかに都内と京都に事務所があり、国会でこれこれこれだけかかると説明すると、追及していた民主党側も「最初からそう説明すればよかった」(小川淳也衆院議員)などと納得して引き下がり、いつの間にか鎮火した感があります。朝日も今となっては、伊吹氏については言及しませんし。
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対象 角田義一前参院副議長
言葉遣い 見苦しい振る舞いは、政治家として晩節を汚したとしか言いようがない▽釈明も歯切れが悪かった▽これではとても納得できない▽疑惑が事実なら、議員辞職にも値する▽今回の対応は残念というほかはない
言葉遣い 世の中の常識とかけ離れている
=そして、産経が小沢氏の事務所費と不動産購入について、読売が角田氏の朝鮮総連傘下団体からの違法献金を政治資金収支報告書に記載していなかった疑惑を報じ、今度は野党側の「政治とカネ」が注目されました。結局、角田氏は参院副議長を辞めるのですが、疑惑事態はうやむやになっています。朝日も上の社説では、角田氏に随分厳しい言葉を投げかけているのですが、その後、紙面で角田氏を追及することはありませんでした。角田氏の辞任記者会見については、同じ民主党の岡田克也元代表も「あの会見では国民は納得しない」と述べたほどでしたが、その後は朝日も民主党も角田氏の件はほとんど忘れてしまったかのようです。
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対象 小沢氏
言葉遣い 注目すべき一石を投じた▽疑念を晴らしたうえで、早く本論に入ろう-そんな趣旨だとすれば、歓迎したい▽(領収書を公開する)その決断が、結果として小沢氏や民主党に得か損かは分からない▽政治資金でそんなもの(不動産)まで賄うことの妥当性が改めて論議を呼ぶ可能性もある▽今度は小沢氏の鼎の軽重が問われる
対象 安倍晋三首相
言葉遣い 答弁からはまったくやる気が感じられなかった▽重大さの自覚が足りないのではないか▽制度の手直しに取り組むことで世論の批判をかわしたいという思惑のように見える
=そして、1月29日の衆院本会議で、小沢氏が、自らの資金管理団体の領収書や関係書類を公表する用意があると発言したところ、朝日は大喜びしました。これで民主党は与党を追撃できるとほっとしたかのようでした。返す刀で安倍首相を批判している点は、「政治とカネ」の問題にかかわらず、あらゆるテーマで一貫していますね。小沢氏の不動産問題は本来、領収書があるとかないとかに関係なく、政治資金で都内の一等地などに次々と自分名義の土地や建物を買い続ける必要があるのかという点が焦点だと思うのですが、朝日は領収書さえ見れば満足のようです。ところが、それから小沢氏がなかなか領収書を公開しないので…。
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対象 小沢氏
言葉遣い 民主党にも弱みがあるから追及を手控えたのか。これでは、そう勘ぐられても仕方がない▽あの提案(領収書公開)はどうなったのか。そろそろ行動に移してもらわなければならない
=なんか、小沢氏の対応に朝日がじれている様子が分かるような気がします。この「勘ぐる」という表現は、朝日の論説委員が好んで使うのか、後の社説にも出てきます。「そろそろ行動に移してもらわなければならない」という言い方は、まるで朝日の都合を述べているように読めました。この間、民主党の近藤昭一衆院議員が代表を務める総支部が、朝鮮総連関係団体関係者経営の会社から献金を受けていたことも表に出ましたし。
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対象 小沢氏
言葉遣い 公開に踏み切った小沢氏の決断を評価したい▽資産の名義は小沢氏になっていても、私的には処分できないよう定めた確認書を公表した▽あとはこうした説明を有権者がどう評価するかだろう▽今回の「小沢氏の一歩」の持つ意味は大きい
対象 政府・与党
言葉遣い 開き直るばかりだ▽国民の不信に正面から答えようという気配はない▽疑惑のかかる政治家たちは後に続くべきだ
=さあ、その1週間後、小沢氏が領収書などを公開したとして、朝日は小沢氏を絶賛しています。小沢氏の行為が、歴史的意義のある英断であるかのように持ち上げています。まあ、どう評価しようと自由ですが、それほどのものだったのか。同じく2月21日の日経新聞は《小沢一郎代表は、事務所費の詳細を公表するにあたり、領収書などのコピーや撮影を認めないなどの条件をつけた。公開時間も報道機関1社あたり30分で、閲覧人数も3人に限定》と報じています。この日、「公開」された資料はかなり膨大なもので、どの社も全部目を通したり、メモをとったりはできなかったと思うのですが。また、確認書といっても、小沢氏が小沢氏に約束しただけの法的効力のないものだし。
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対象 松岡利勝農水相
言葉遣い 不可解と言うほかない▽説明はしどろもどろだった▽荒唐無稽に過ぎる▽すでに小沢氏が領収書などを公開して率先垂範してみせた。同じことが松岡氏にできないはずはあるまい
対象 安倍首相
言葉遣い 責任が重いことは言うまでもない▽政治不信を加速している▽疑惑が晴れないのなら、けじめをつけなければならない
=さて、ここで松岡氏の「ナントカ還元水」問題(光熱水費問題)が発覚します。朝日はとたんに鬼の首をとったかのような書きぶりです。確かに松岡氏の説明は、他人を納得させるものではありませんでしたが。ここでも小沢氏の行為を「率先垂範」と高く評価しています。
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対象 民主党の中井ひろし衆院議員
言葉遣い 国民に疑惑をもたれたら政治家として責任を果たす。民主党では、そんな常識が通用するようだ▽中井氏の責任は重い
対象 自民党
言葉遣い 松岡氏がのらりくらりと説明を避けているだけではない▽あきれるのは首相や党執行部の振る舞いだけではない▽安倍首相は同僚をかばい続ける
=ここで民主党に再びブーメランが飛んできました。中井元法相の資金管理団体が事務所費の虚偽記載をしていたことが分かったのです。光熱水費無料の議員会館にしか事務所がないのに、5年間で1850万円の光熱水費を計上した件で、これは構造的には松岡氏の問題と重なって見えます。で、中井氏は記者会見で「単純なミス」だとして訂正・謝罪してすませたわけですが、朝日はこれも「政治家としての責任を果たした」と評価しています。中井氏は、党の役職すら辞めようとはしませんでしたが、朝日の矛先はひたすら政府・与党へと向くようです。
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対象 安倍首相
言葉遣い どこが「美しい」のか、首をかしげざるを得ない▽滑り出しのわずか半年で、政治への信頼を揺るがせる出来事がこんなにも頻発した政権がかつてあっただろうか▽閣僚ひとり退場させることができないのは、実は弱い首相だからではないか
対象 松岡氏
言葉遣い 政治資金を私的流用したのではないか。そう疑うのが常識というものだ▽どこ吹く風の厚顔無恥ぶりである▽開き直るばかりなのだ
=この社説は、どうでしょうかね。朝日の社説にしても、比較的冷静なときと感情的なときの双方がありますが、これは後者のように思いました。「政治への信頼を揺るがせる出来事がこんなにも頻発」と書いていますが、これは与野党両者に共通して起きたことではないかと。また、「弱い首相」というどぎつい表現にも引っかかりました。というのは、朝日をはじめ左派メディアは、安倍政権が誕生した当初は「タカ派」政権だと強調して国民の不安を煽ろうとしたのですが、それに期待したほどの効果がないとみると、「頼りない」「ぶれる」「リーダーシップに欠ける」などと盛んに強調し、首相が弱いと印象づけようとしているように感じていたからです。松岡氏に対しても、社説がその会社を代表する意見だとすると、ちょっと表現に品がなさすぎる気もしました。
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対象 安倍首相
言葉遣い なんとも、「首相の指示」が軽くみられたものだ▽なぜ、指示に従わない党幹部に怒らないのか
対象 自民党
言葉遣い まったくやる気が見られないのだ▽その言い訳は通らない▽領収書の添付に抵抗するのは、今まで通り政治資金を勝手に使いたいためではないか。そう勘ぐりたくなる。
対象 松岡氏
言葉遣い 信じる人はいまい
=で、政治資金規正法改正問題が本格的に論議される始め、安倍首相が4月18日に改正案を今国会に提出するよう党側に支持したら、この社説です。確かに当時、自民党内の空気は消極的でしたが、首相が支持した次の日にここまで決めつけた社説を書くのは、悪意だとしか受け取るしかないような気もします。これも「弱い首相」を演出する一環かと「勘ぐり」たくなります。
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対象 安倍首相
言葉遣い こうした態度は、明らかに政治倫理綱領を踏みにじるものだ▽首相はまだ問題の核心が分かっていないようだ▽松岡氏の首に縄をつけてでもきちんと説明させることなのだ
対象 小沢氏
言葉遣い 少なくとも小沢氏は自ら進んで関係書類や領収書を記者団に公開し、説明責任を果たそうとした▽小沢氏は政治倫理綱領の精神に沿って行動したとはいえる
=朝日がいう倫理綱領とは、1985年につくられた「われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑を持たれた場合には、みずから真摯な態度をもって疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない」というものだそうです。朝日はここでも小沢氏を例にとり、高く評価していますが…。
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対象 安倍首相
言葉遣い 与党案はあまりに不十分だ▽世論の批判をかわすため、形ばかりの改正案でお茶をにごすかのような姿勢は許されない
対象 小沢氏
言葉遣い きのうの党首討論で小沢氏が「政治とカネ」の問題にいっさい触れなかったのは理解に苦しむ
=社説は、松岡氏の自殺で巻引きとすることなく、政治はきちんとけじめをつけなければならないと主張しています。私も「政治とカネ」の問題を軽視するつもりはありませんが、どうしてここまで朝日がこだわるのか若干不思議ではあります。
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対象 安倍首相
言葉遣い この問題(政治とカネ)に決着をつけずに国会を終えることは許されない▽極めて遺憾である▽与野党の修正協議を実らせるべきだ
=この社説では、安倍首相が執念を燃やした公務員制度改革関連法案よりも、もっと真剣に取り組むべきは政治資金規正法の改正だという趣旨のことが書いてあります。今ひとつ論理のつながりがよく分かりません。
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対象 安倍首相
言葉遣い この程度の内容で胸を張られては困る
対象 民主党
言葉遣い 民主党も、責任なしとしない。小沢代表は自らの不動産所有の問題で資料などを公開したが、角田氏はなんの説明もしていない
=やっと角田氏の名前が、それも国会閉会時になってようやく出てきました。しかし、妙にあっさりしています。国会が閉会してしまえば、事実上、国会での証人喚問などはできませんので、角田氏にしてももう一安心というタイミングですね。それと、朝日の論説委員は小沢氏の領収書公開がよほどのお気に入りのようですが、実際に現場に取材に行った朝日の記者は、同じようにあれを評価しているのでしょうか。ちょっと疑問です。
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対象 安倍政権
言葉遣い うんざりだ。いい加減にしろ。そんな感想の人が多いのではないか▽安倍首相には、悪夢のような事態だろう。人事権者としての首相の責任も問われている
対象 赤城徳彦農水相
言葉遣い やましいところがないのなら、裏付けとなる領収書などを示してきちんと説明すべきだ。
=ああ、また領収書だ。私は、赤城氏が何か不正をしているとは今のところ思っていませんが、ここまで言われるのなら、領収書ぐらい出せばいいのにとも思います。そしたら、コピー、写真禁止でも1社あたり30分の閲覧で記者はメモが追いつかなくても、きっと朝日は絶賛してくれるでしょう。
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対象 安倍首相
言葉遣い どうしても「問題ない」と言い張りたいようだ▽納得する人はいまい▽すべてに問題がなかったと言い募るのは強弁が過ぎないか▽これもおかしな理屈だ▽首相はこう開き直った▽おやおや、野党のせいで十分な法改正ができなかったと言いたいのだろうか▽首相はまず、赤城氏に領収書を示すなどして説明を尽くすよう指示することだ▽妙な「へ理屈」をこねても、政治への信頼が失われるばかりだ。
=また領収書…。領収書に何かトラウマでも抱えているのでしょうか。私は、政治資金の透明化自体には賛成ですが、領収書だけ見たって、たいしたことは分からないように思います。それをちゃんと調べようと思ったら、お店に照会したり、金額の総計を確かめたり、あるいは会合の領収書であれば出席者に聞いたりしないと、領収書の束だけ存在を確認してどうするのか。筆跡調査も必要でしょうか。何にしろ、「政治の信頼イコール領収書」という図式はどうしても得心がいきませんし、根本的に何かが違っているような気がします。


by kakasai
東京を離れて署名してきました…