今朝は出勤後しばし、野田政権が編成した実質96兆円強と過去最大の平成24年度当初予算案に関する在京各紙の論調を、じっくりと読み比べてみました。
朝日は1面で原真人編集委員が「日本売り 忍び寄る危機」という明快な記事を書いています。持って回って韜晦し、奥歯にものが挟まったような、結局何を言いたいのだかよく分からない書き方を「よし」とするこの新聞にしては、表現も実にストレートでわかりやすい。例えば
《来年度予算はまちがいなく過去最大にふくらんだバラマキ型予算である》
《これはいわば、行き当たりばったりの財政拡張だ。そこに厳しい財政規律も、明確な政策意思もない》
《この歳出のゆるみようでは(増税について)国民の理解は得られまい》
……など、全くその通りだと言いたくなります。朝日は社説「危機感がなさすぎる」の中でも「こんな予算で国民に消費税の増税を求められるのか。国会で徹底的に議論し、予算を組み替えてもらいたい」と書いています。野田氏も就任して100日以上がたち、いかに泥の中に隠れて黙っていてもその正体がだんだん誰の目にも明らかになってきましたね。
東京の社説「消え失せた政権公約」も、こんな率直な書き出しです。この新聞の社説は当たり外れが大きいので、書いている論説委員の署名が読みたいところです。
《民主党のいいかげんさを一日に凝縮して見せられたような思いがする。》
そして、こんな言葉が続きます。
《自分たちで決めた政策決定のシステムさえ守れないでたらめさを見せつけた。(八ツ場ダム建設)再開を決めた最終局面で登場した「官房長官裁定」なるものも、一読して国民にはさっぱり分からない。要するに政権が国民に顔を向けていないのである。》
《政権交代から三回目になる予算案をみる限り、改革の約束はほごにされてしまった。》
《子ども手当を試みて失敗し、議員定数削減や年金制度改革、国家公務員総人件費二割削減も先送りである。国家公務員の冬のボーナスは逆に前年度を上回った。それで消費税引き上げでは納得できない》
……これまた「まっくだ」と同感します。野田首相は八ツ場ダム建設再開について「苦渋の決断だ」と言いましたが、何が言いたいのだか意味不明です。
で、ここからが本題なのですが、今朝の各紙を読んでいて、何度か「お前が言うな!」と叫びたくなったのでした。一つは、やはり東京新聞に掲載されていた民主党結党時からの応援団である山口二郎北海道大教授のコラムです。山口氏はこう記していました。
《予算編成の季節である。消費税率の引き上げが最大の争点となっている。私はこの問題については、多少政府に同情的である。財源に関する見通しが甘かったのは責められるべきだが、世界の財政・金融危機の中で日本も財政健全化に向けた動きを始めなければならない》
山口氏は政権交代直前、雑誌「世界」(平成21年9月号)では、「(財源の)細かい数字は後から付いてくるのである」とまるで、小沢一郎氏みたいなことを語っていました。責められるべきはあなたも一緒でしょうに。また、山口氏は八ツ場ダムに関してコラムでこうも書いています。
《これだけは絶対に譲れないという確信まで失ったら、そんな政治家や政党は不必要であり、有害である。》
民主党に対する「確信」を失ってそう書いているのだとしたら、そんな学者も不必要であり、有害でしょうね。
もう一つ、今朝の紙面で「お前が言うな」と感じたのが、仙谷由人政調会長代行がBS朝日で述べた言葉です。東京新聞にはこうありました。
《民主党の仙谷由人政調会長代行は24日、消費税を2010年代半ばまでに10%にするとの増税方針をめぐり、5年以内にさらに15%まで引き上げる必要があるとの認識を示した。》
……こんな予算を組んでおいてよく言うよ、さすが鉄面皮だというところですが、それだけではありません。産経によると、仙谷氏は《行革を今からいくらやっても2兆円、3兆円は出てこない》とも語っていました。
行革と予算の組み替えで16兆8000億円が捻出できるという旗印で選挙に勝ったのはどこの政党なのか。あなたがたは負担を国民に押しつける前にどんな努力をしたというのか。少なくとも、鳩山内閣でも菅内閣でも閣僚を務めた仙谷氏に偉そうなことを言う資格はないはずですね。重ねて
「お前が言うな!」


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