いよいよきょうから国会も始まりましたが、その直前に安倍首相の口からインド洋での給油活動について「職を賭して取り組んでいく」という発言が飛び出し、永田町は騒然としています。初日からこれだけ緊迫感が漂う国会は、あまり見たことがありません。そっちのニュースの方がホットなのは重々承知していますが、明日の紙面にいろいろ記事が出るため、本日は別の話題を書きたいと思います。
きょうの所信表明演説で、安倍首相は「政治とカネ」の問題について、「厳しいご批判をいただいた政治資金の問題については、なお一層、透明性を高めていくことが不可欠だ。内閣としても、政治に対する国民の信頼を一刻も早く取り戻すため、全力をあげて取り組んでいく」と述べました。新内閣になってもいっこうに収まらないこの問題では、安倍首相も心労を重ねているようです。
実際、安倍内閣では、直接の原因かどうかはともかく、「政治とカネ」の問題を追及された松岡利勝元農水相が自殺までしています。とても因果な話だなあと感じるのは、この松岡氏はかつて、民主党の「政治とカネ」について国会で厳しく追及した人物だったことです。平成17年2月2日の衆院予算委員会で、松岡氏は次のように指摘していました。
《松岡氏 それでは、合併直前に民主党から自由党へ流れた政治資金の問題でありますけれども、平成十五年九月二十四日、民主党は二億九千五百四十万円を自由党に対し寄附をしております。二日後の平成十五年九月二十六日、自由党は解散したわけでありますが、わずか二日後に解散する自由党に対し、なぜ民主党が三億円近い金を寄附する必要があったのか。政党を金で買ったのと同じではないか、こういう疑いもあるわけです。
また、解散した九月二十六日、自由党は改革国民会議という政治資金団体に七億四千五百八十九万九千四十一円を寄附しています。さらに、同日、自由党は政党助成金から五億六千九十六万四千百四十三円を改革国民会議に寄附をしております。合計で十三億六百八十六万三千百八十四円という莫大な額であります。
政党助成法第三十三条には、政党助成金は、解散時に残高がある場合には国に返還しなければならないとありますが、解散する自由党が解散日に政党助成金も合わせて約十三億円以上の金を他団体に寄附するというのは、国民の目から見ますと、これは返還逃れのための行為ではないか、そういう思いになるわけであります。
解散間近の自由党には十三億円以上もの金が残っているにもかかわらず、なぜ民主党は三億円近い金を、二日後に解散するとわかっている自由党に対し寄附をするのか。常日ごろから政治と金に透明性を求め、口をきわめて自民党が悪者のように言っておられます民主党にはおよそ想像できない実態と思われますが、これを聞いておられる国民の皆様方がどうお感じになりますか。
こういったことを私は強く指摘をいたしまして、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。》
この松岡氏の質問には前段があって、その部分も大変興味深いので、関心がある人は国会の議事検索システムでごらんになるといいと思います。政治とカネの問題は、根が深いというか、よく分からないというか、まあとにかく…。そこで、松岡氏の質問について、この際、収支報告で確かめてみたので、その写真を報告します。まずは、自由党(代表者・小沢一郎氏)の平成15年分の使途等報告書からです。

写真が下手でちょっと見にくいでしょうが、一番下の段にある5億6096万円余が、松岡氏が指摘している政党助成金からの寄付ということでしょうね。日付は、確かに自由党が解散した9月26日付となっています。次に、自由党が解散時に提出した収支報告書を見てみます。

これも松岡氏の指摘する通り、解散する2日前の24日に、自由党は民主党から2億9540万円の寄付を受けています。とても不自然な気がするのは私だけでしょうか。松岡氏は、「政党を金で買った」という表現を使っていますが、逆の立場から見れば「政党を金で売った」ともいえそうですね…。

これも同じく自由党の解散時の収支報告書です。自由党が解散当日に、改革国民会議という団体にずらっと寄付をしていることがきっちり記されていますね。なるほど。念のために、改革国民会議(代表者・戸田豊重氏)の15年分の収支報告書はどうかというと、こうでした。

やはり例の5億6096万円の寄付がきっちり記載されていました。また、こんな記録もありました。

改革国民会議は、自由党から自動車も寄付を受け、引き継いでいたのですね。で、この改革国民会議は小沢氏を支援する関連政治団体だというわけで、小沢氏が必要なときに小沢氏のためにこのお金は使われるのです。ずっと以前のエントリで、自由党が保守党と分裂した際、保守党に行った議員たちが口をそろえて、「政党助成金も人数に応じて分けるべきだが、小沢氏は一銭もよこさなかった」と文句を言っていたことを書きましたが、お金の管理は本当にしっかりしているのでしょうね。
改革国民会議は、もともとは新進党の政治資金団体で、新進党の解散後、自由党の政治資金団体となり、そして自由党が解散した後も政治団体として残り、資金をプールし続けているそうです。
ただ、これが松岡氏の言うように政党助成法違反かというと、必ずしもそうとは言えないようです。松岡氏のいう33条に該当するなら確かに助成金は返還しなければならないのでしょうが、総務省政党助成室に聞くと、「自由党の場合は、何かに違反していたのではないので33条ではなくて通常の解散時のことを定めた22条に当たる。法律は、余った助成金の使途は制限していない」とのことでした。
私は、政治資金規正法を改正するのであるならば、1円からの領収書添付を言うよりも、まずはこういう「ウラ道」を塞いだ方がいいように思います。いくら領収書がちゃんとしていても、それだけでは何の意味もないのではないでしょうか。最近は(あるいは以前から?)、マスコミは何でもわかりやすいことかりに飛びつく傾向がありますが、知恵の働く人は、そんなマスコミの性格も能力もご存じなのでしょうね…。


by 047696
小沢一郎氏への各紙の視線と「…