自分でもふだんは忘れているのですが、このブログの趣旨はもともと「永田町をうろうろしながら感じたことや、面白かった本の感想などを記し、ときに国の将来を考えたりもします」というものです。そこで、本日はここ1カ月余りの間に読んだ本を紹介し、独断と偏見と私的趣味に基づいてコメントを試みることにします。
まずは、クライアントは主に極道というちょっと変わった探偵が主人公のピカレスク(?)小説からです。登場人物がみな、せこくて自分勝手でそれでいてとても魅力的でした。全然、ストーリーと関係のない感想なのですが、読んでいて「つまづいたっていいじゃないか にんげんだもの」という相田みつを氏の言葉が思い浮かびました。★★★★

次も極道つながりです。古き良きヤクザが、崩壊しかけた私立高校を建て直すというストーリーで、純粋に面白いのですが、同時に教育関係者に読んでもらいたいなあとも感じました。現代の無気力教師とクレーマー父兄の在り方がよく描かれている点や、叱られたこともほめられたこともない子供たちの異様な生態など、いろいろと考えさせられる部分もありましたし。★★★★

傑作「翼はいつまでも」の川上健一氏の新作です。表紙絵を見ればストーリーが分かるほど単純な筋立てですが、相変わらず泣かされます。読めば分かりますが、島根県・隠岐を舞台に、主人公たちがひたすら渾身の力を込めて相撲をとるという、ただそれだけの感動物語でした。★★★★

テレビドラマ化もされた人気連作の第15集ですね。これもまた胸にジーンとくる話が多いのですが、後書きの無意味な安倍前首相批判には興ざめでした。人間の陰影や機微について上手に描く小説家が、なぜ政治家に限って単純化してバカにするのか不思議でなりません。世の中も人間も、そんな単純なものではないことは知り尽くしているでしょうに。★★★

私はもともとSF小説が好きだったので、読むのは時代小説がメインとなった今でもたまに手に取ります。ネビュラ賞受賞とあるので、ある程度期待したのですが…。途中まではそれなりに凝ったストーリー展開だと思えたのですが、後半はいただけませんでした。最後もあっけないし。★★★

次に紹介する本は、正統派の時代小説で、期待以上に面白かったです。私は素養がなく全然知らなかったのですが、この本のタイトルにある「銀漢」とは、天の川のことなのだそうです。少年時代の仲間が、一人は出世し、一人はうだつのあがらないまま…とここまで書くとよくある時代小説のパターンのようですが、どうしてどうして工夫が凝らされたストーリーでした。★★★★

主人公の狷介な性格と、誰もが知っている剣豪、宮本武蔵との因縁話がなんともいえず面白く、ユーモアがあってかつユニークな設定でした。伏線も多く、これはきっと続編が出るだろうと思いますので、今から楽しみです。★★★★

私のお気に入りの佐藤雅美氏の新作です。これは「半次」シリーズの第何作になるのかな、いつも安定感があって楽しめます。本の筋とは関係のない余談ですが、この人の本を読むと、武家と町民、百姓の関係などが生き生きと描写されていて、決してマルクス・レーニン史観にのっとって書かれた歴史教科書が描くような抑圧・被抑圧といった単純な関係ではなかったことがよく分かります。★★★★

これも「チーム・バチスタの栄光」から続く医療連作の最新作です。作者は現役の医者だけに、医療現場の実情や矛盾の描写が克明で考えさせられます。手術前の手洗いの話など、些事かもしれませんが、とても興味深いものでした。一気に読めます。★★★★

ここからは文庫本です。シリーズ第一弾だということですが、うーん、悪いけど正直なところ二作目は買わないだろうなあ。★★

御三卿、田安徳川家の若様が同心になるという、昔の時代小説スタイルのお話でした。面白くないわけではないのですが、ちょっと無理のある展開と、現実味を感じない登場人物とで、ちょっと趣味に合いませんでした。★★★

これもちょっと、設定とストーリー展開に無理があるような。料理屋を舞台にしたのはいいのですが、なんだかなあ。最後まで読みはしましたが。★★

土地家屋調査士が主人公の小説というのも、なかなか珍しい気がします。タイトルをひかれて買い、知らない世界なのでその点は興味深く読めました。登場人物にはあまり感情移入できませんでしたが。★★★

タイトルがうまいですねぇ。リストラ請負会社に務める主人公が出会うリストラ対象者とは、またその人の心境と言動は…。他人事とは思えず、引き込まれました。これは素直に面白い。女性の描き方もとても魅力的で、人物描写にも納得しました。続編「借金取りの王子」もぜひ読みたいと思いました。★★★★★(★5つがないのは寂しいので、最後に少しおまけしてつけました)

私は重度の活字中毒者であり、電車の中で本や漫画を読むのは当たり前で、面白い場面にさしかかると、電車を降りてもそのまま歩きながら続きを読んでしまうことがあります。危ないですね。また、エレベーターやエスカレーターに乗る数十秒~数分の間にも本を取り出し読まないと落ち着かないというほとんど病気の状態にあります。ただ、政治がらみの本は、読んでも気持ちのリフレッシュにならず、仕事の延長になってしまうので、それほど読みません。読書は、あくまで娯楽であり、趣味なので、本を読んでいる最中は仕事のことを忘れたいと思っているのです。ただの怠け者の言い訳かもしれませんが。


by saxophone
短信・金環日食で始まる一日