今朝のフジテレビ報道2001の世論調査(2月28日調査)によると、福田内閣の支持率は31.6%(不支持率63.2%)で、先週の27.8%からわずか3.8ポイントながら持ち直していました。先週からさらに落ちていないかと、期待(?)を込めて見守っていたのですが。まあ誤差の範囲でしょうが、なかなかしぶといですね。この間、何か支持率が上がる実績や情勢があったとは到底思えないのですが、他に選択肢がないし…という人がけっこう多いということでしょうか。
さて本日は、その福田首相の話し方、言葉遣い、話す内容について、最近のぶらさがりインタビューなどの例を引いて、少し考えてみたいと思います。福田氏の答弁に対しては、官房長官時代から、マスコミは「飄々としている」「冷静に受け流す」などと、なぜか高い評価をしていましたが、果たしてそれは実態通りなのか。私は福田氏の記者会見を少なくとも数百回は聞いていますが、こうした報道を見るたびに、現場の実感とは全然違うではないかと憤っていました。だって実際は、感情的で何よりイイカゲンで、万事テキトーな答弁を繰り返していただけでしたから。
マスコミ報道には、「この人に対してはこう」という何かコードのようなものがあり、いつの間にか善玉・悪玉をつくったり、この人はとりあえず持ち上げる、逆にこの人はからかっておく、この人は何を言っても無視…というような暗黙の了解、パターンのようなものがある気もします。実際は、各社でそんなことを話し合ったりすることはありえないのですが、なぜか結果的にそうなっているという。福田氏の場合は、官房長官時代から失言、デタラメ発言、心ない発言が多数あったのに、なぜか厳しく批判されることはあまりありませんでした。
これについては以前も触れたことがあるかもしれませんが、私は二つの理由を考えています。一つは、官房長官時代は、だれもこの人が将来首相になるなんて思わず、どうせいずれ消えていく人だからとニュース価値をあまり認めていなかったこと(週刊誌記者は、福田氏の問題点を取り上げても売れないと言っていました)。もう一つは、父上の福田赳夫元首相に良好な関係を持っていた記者たちが、ちょうど報道各社の幹部クラスを務める年代になっていたことから、一定の遠慮が働いたことです。当たっているかどうかは分かりません。
それでは、まず中国製毒入りギョーザ事件が発覚した1月30日夜のやりとりから紹介します。
記者 中国製の冷凍ぎょうざが農薬成分が検出された。これが回収指示を受けた。これに対して政府としてどういう対応を取るつもりか
福田氏 被害が発生したということで大変お気の毒に思います。お見舞い申し上げますけどね。しかしこういうことが起こりまして残念ですね。どういうふうにしたらいいかね。関係省庁が原因をよく調べた上で対応すると思いますけどね。そういう態勢をね、また考えることがあるんであれば、至急対応しなきゃいかんですね。
福田氏 いや、厚生行政…経済産業省、いろいろ省庁ありますんでね。ですからそういうようなことが起こらないように、まあ輸入食品といえどもですね、十分注意するというようなことを申し上げるしかないですね。とりあえずはね。原因が分かってから対応するということが必要なんでしょう。
…なんとなく腰が引けていて役人任せのように感じます。もちろん、この時点で何ができるとか検討してみないと分からなかったのは事実てしょうが、国のトップとして、国民に発信し、呼びかけなければいけない場でこういう言い方はどうかと思います。在る意味、正直なのかもしれませんが。次に、翌31日夜のやりとりです。
記者 中国製の冷凍餃子の問題を受けて、今日、官僚会議が開かれましたが、その報告を受けて、総理の受け止めをお願いします。
福田氏 まっ、あのー、いずれにしてもですね、原因をね、えー、しっかり、つきとめなければいけないし、またあの、その対策をね、講じなければいけない。ということで今、あの、関係省庁がですね、真剣に取り組んでおります。
記者 今回の餃子の問題について、総理が最初に報告を受けられたのはいつでしょうか。また、そのときにこれほど被害が拡大するという認識はありましたでしょうか。
福田氏 えー、あの、ねっ、昨日の夕方ぐらいですかね。えっ、知りまして。まっ、それであのー、そうですね、えー、まっ、これはね、広がるかどうかは別として、これは大変だなっ、というような感じは持ちました。
…こういう言い方が、すべて他人事のようだと言われるのでしょうね。しかし、ご本人はそれを直そう、改めようという気はないようです。でも、安倍前首相が真剣に国民に呼びかけようとした姿を「カメラ目線が気持ち悪い」などと酷評した新聞社が、こういう福田氏の態度には何も言わないのが実に気持ち悪いと感じています。今度は、福田氏が国会で解決が近いようなことをにおわせた発言をした2月8日夜のインタビューです。
記者 中国製冷凍餃子問題について、総理は今日の予算委員会で「段々核心に迫っている」と発言されましたが、原因究明について何らかの進展があったんでしょうか。
福田氏 いや、原因究明は今、関係、特に中国側でね、一生懸命やってますけど、日本もそれに協力してるという状況です。そういうことで、これはまー、あのー、全部ね、明らかになんないとね、あのー、究明できたというわけにはいきませんからね。
記者 密封された冷凍餃子の袋の中から、殺虫剤が検出されたことについて、町村官房長官が、記者会見で「現地の工場で、混入されたと考えるのが普通ではないか」と発言されました。総理は、これについてはどのように考えられますか。
福田氏 いや、これもですから、その限りにおける推定ですね。まだ、あのー、ですからね、あのー、明確に申し上げられるという状況ではありません。
…福田氏の中国に対する信頼と、何が何でも中国の嫌がることは言いたくないという姿勢がうかがえますが、「核心に迫っている」という言葉は何だったんでしょうね。このときからもう三週間以上すぎましたが。このやりとりでは、逆に町村氏の発言が否定された印象すらあります。
次はギョーザ事件から離れ、15日夜にあった小麦価格の値上げについてのやりとりです。もうすでに先行して、スーパーなどではインスタントラーメンの価格がかなり上がっているようです。私がラーメン好きなせいか、けっこう関心事なのです。
記者 今年4月以降の輸入小麦の売渡価格が、30%引き上げられることになりました。先ほど総理と会談した自民党の谷津義男さんは、値上げに強い危機感を示しましたが、総理、政府としてどのような対策を講じていくお考えでしょうか。
福田氏 この輸入価格、これは、あのー、小麦のね、そのー、産地の輸出価格が値上がりしているんですね。ですから、輸入価格が上がるのは、まっ、やむをえないんですよね、えー、ですからその、コストアップがですね、値上がりが、まっ、製品価格、国内の製品価格ですね、食料品価格に、まー、反映してくるわけだけど、これが例えば、そのー、便乗値上げとかね、そういったようなことになってはいけないんで、それはしっかりと監視していかなければいけないと、思います。
…要するに、何も対策は打たず、流れに任せると言っているのでしょうか。何を聞いてもこんな答えしか返ってこないのであれば、聞いている記者の方も芯の方から疲れてくるのではないかと思います。別に特別な答えをしろという気はありませんが、国民に向かって話しているという自覚はあるのかないのか。さて、沖縄の米軍不祥事に関しては、18日にこんなやりとりもありました。
記者 先日、沖縄で少女暴行事件があったばかりですが、住居侵入や飲酒運転で米兵の逮捕が相次いでいます。総理の率直なお気持ちをお願いします。
福田氏 やー、ホントに、あのー、米軍もどうなっちゃったんですかねぇ。ホントにあんなね、あのー、大騒ぎした事件があって、そして綱紀粛正といった直後ですからね。あー、やっぱり何か、原因があるかもしれません。よく突き止めて、そして、こういうことは、ホントに、ないようにね、すること、やっぱり厳重にね、申し入れしなければいけないと思いますね。
…率直な気持ちは、「どうなっちゃったんですかねえ」だそうです。本当にマスコミも国民もこの人に優しいですね。私には、いまだに内閣支持率が3割もあることがやはり理解できません。単に私の理解力が不足しているだけなのかもしれませんが。今度は、米ニューヨークフィルが訪朝した問題についての26日夜のやりとりです。
記者 今、ニューヨークのフィルハーモニーが平壌で演奏を行っている。この米朝の融和の動きを総理はどのように見ているか。
福田氏 これー、融和なんですか? んー、まあ、ケンカじゃないですね。まあ、ニューヨーク・フィル、日本に来てくれないかなあ。
記者 総理もお聴きしたい?
福田氏 聴きたい。
…若い記者達をかるくいなしたということかも知れませんが、これもどうかと思います。記者たちも別に趣味で聞いているのではなく、北朝鮮問題という国民の関心事について、一国の首相の考えを尋ねているのですから。ニューヨーク・フィルの訪朝は、確かに計画が立てられた当初とは米朝関係が変わってきたため、懸念された米朝融和の象徴的な位置づけからはずれていきましたが、「まあ、ケンカじゃないですね」という言い方は、国民をバカにしているようにすら思えますね。
さて、次はイザニュースでも取り上げられ、中国の傲慢さと福田首相の親中ぶりを示すエピソードとして広まった28日夜のギョーザ事件に関するやりとりです。イザの記者ブログでも、片山編集長が怒りを表明していますね。
記者 冷凍ギョーザによる中毒事件について、中国の警察当局は今日、毒物が中国国内で混入された可能性は極めて低いとの見方を示しました。このまま原因がうやむやになるのではないかと、国民の間で不安が広がっていますけれども、今後どのように対応されますか。
福田氏 いやあ、中国の捜査当局の発表はこれからもね、日本と共同して、そしてしっかり調査したいと。こういうことを言っていたんじゃないですか。ね。ですから、非常に前向きですね。あの、中国のほうもですね、原因をしっかりと調査し、そして、その責任をはっきりさせたいという気持ちは十分に持っていると思いますよ。ですから、日本の捜査の方もそれにあわせて協力してやってもらいたいと思います。
…だそうです。私は中国側の出方自体はまったく予想通りで、まあそう言ってくるだろうなとは思いましたが、それにしても非礼であることには変わりありません。それを、国の代表である福田首相があのようにかばえば、どうなるでしょうか。中国側の対応に怒りを表明した警察庁にしても、ハシゴを外された思いがしたのではないかと思います。
最後に、私はテレビ中継を観ていなかったのですが、イージス艦と漁船の衝突事故をめぐり、国会答弁中に福田首相が涙ぐんだとされる件についての29日夜のやりとりです。照れ隠しかもしれませんが、ことの重大性に対し、これもねえ、どうかと。
記者 イージス艦事故で事故は慚愧に堪えないと涙ぐまれたが
福田氏 涙ぐんだほどでもないけど、しかし、まあ残念だということですよ。それだけ。
…この福田内閣について、小泉元首相の名物秘書官だった飯島勲氏が29日の名古屋で行った講演で、「70年以上の内閣の歴史で、公約、ビジョンがなく総理になった世界にもまれな例が福田内閣。ビジョンがなくて内閣改造も選挙も連立もへったくれもない」と言っていました。全くその通りだと思った次第です。自民党も国民も、いつまでこの人を首相として担いでいく気なのか。少なくとも私はもう心の底からうんざりです(最初からそうでしたが)。
ただ、飯島氏は一方で民主党の小沢代表に対しても「小沢一郎は政局と選挙にしか頭にない。彼の判断のポイントは組織を持つ旧社会党左派の議員だ」とも指摘していました。これまた私の見方と同じです。これでは、いくら福田氏にうんざりしていても、それでは民主党に投票しようとはなかなかなりません。まるで福田氏か小沢氏か、一時期流行った「究極の選択」を迫られているかのようです。こういう閉塞状況が、冒頭紹介したいまだに3割もある福田内閣の支持率につながっているのではないかと愚考した次第でした。


by bunkyo-ku
小沢一郎氏への各紙の視線と「…