今回は、また人権擁護法案に関するお話です。昨日はこの法案の提出を目指す自民党の人権問題調査会の第4回会合が開かれました。それについては、産経は今朝の政治面で「推進の審議会元会長に異論」という2段見出しで記事を載せています。《平成13年に法案の必要性を答申した「人権擁護推進審議会」(法務、文科など3相の諮問機関)の元会長、塩野宏東京大名誉教授が経緯などを説明したが、出席議員から異論が相次いだ》という内容です。
この会合自体は、記事にある通りなのできょうはこれ以上詳しくは書きませんが、私が興味を覚えたのは、会合冒頭の太田誠一調査会長のあいさつでした。いきなり、自らの発言に対する陳謝から始まったからです。身から出た錆ではありますが…。
太田氏は今月3日に都内で開かれた部落解放同盟の全国大会に来賓として招かれ、これまでの人権問題調査会の議論について「罵詈雑言の嵐だが、最後にはきちんとした法律にまとめたい」とあいさつしていたのです。これは、法案に反対の論陣を張っている保守系議員たちの神経を逆撫でするだろうな、相変わらず言葉が軽い人だなあと思っていたのですが、案の定、謝罪するハメになったようです。以下が、調査会での太田氏のあいさつです。
《今日は、人権擁護推進審議会の答申を書いていただきました塩野先生のお話をうかがう。ここで私どもが申し上げてまいりましたけれども、最初の原点に返って法案を作り直すというか、もう一回やりなおすということを申し上げてまいりましたが、答申の内容までは、多くの方々もそれを踏まえてご発言いただいてますので、その辺りに帰って行くということだろうと思っております。
いろんな関係の人権について関心の強いいろいろな団体がですね、活発にこの主張しておられるようでございます。私もですね、ある団体(部落解放同盟)に自民党の代表としてお招きをいただきまして、ご挨拶をいただきましてちょっと不適切なことを言いましたので、修正をしておきます。自民党の人権問題調査会は罵詈雑言の嵐であるというふうに申し上げたわけでございますが、これはとんでもない間違いでありましたので、まさに正しいご意見のご開陳が相次いでいるところでございます。以後気をつけますので、お詫びを申し上げます。
それからここにいてご発言を聞いているわけでございますが、その都度反論を申し上げていると、法務省の反論じゃなくて、私が感じていることで反論をすることはないわけでございますが、一つだけ途中で申し上げておきたいことは、私は二十年近く衆議院の法務委員会の理事をしておりました。十五年ぐらいは筆頭理事をしてまいりました。ですから、法務省の関係する法律やあるいは制度、仕組みというのは大体普通の人よりは知っているわけでございます。
そこで人権擁護局というのは何なのかということを申し上げますが、まあ、この一部には何かこの、省益ということと、この法案が関係あるかのごとき誤解をしておられる向きがありますけれども、人権擁護局はおよそ法務省の中でもほとんどそういう省益と関係のないセクションでありまして、自分たちで言うことはでいないかもしれませんけれども、ここにおられる方々は判事さんでございます。判事が検事になり、検事の身分でもって法務省にいるということでございます。それがいいことかどうかは別として、判事さんの形成している、形づくっている世界なんだというふうに私は思っております。
だからですね、そういうことだから、裁判外の手続きというふうなことをここで導入したらどうかというような発想がそもそもそこら辺から出てくるのではないかと思っております。
また人権擁護委員という人たちが全国にたくさんおりまして、皆さん方も接触をされたことがあると思いますけども、ちゃんと、何と言いますか、その何と言いますか、無害というかですね、おとなしいというかですね(会場失笑)、この、そういう方々でございます。で、そのそういうですね方々が形成をしておられる、方々の世界であるということを強調しておきたいと思います。また何か皆様方の中で私の知らないことをご存じだったら、この場で教えていただきたいと思うのでございます。ぜひ、建設的なご義論を今後ともお願いいたします。》
…解放同盟大会での発言は「間違いだった」というより、「本音」だったのでしょうけれどね。まあ、ひたすら低姿勢で謝ってはいるものの、まだ粘り腰で法案成立に意欲を示しています。やれやれです。太田氏のブログのコメント欄には、人権擁護法案に反対する書き込みが殺到して炎上状態になっていますね。私は、これについてもニュース価値があると思い、記事にしたらどうかと進言したのですが、「太田氏個人をいじめることになる」という上の判断もあって記事化は見送られました。まあ、いろいろと難しいこともあります。
それと、一昨日のエントリ「速報・所謂『人権擁護法案』再提出に対する要請受付国民集会」で紹介した中川昭一氏の「この法律ができたら、中川も島村も平沼もここにいる議員のみなさんも、3日か1週間で政治生命を終わらせてやるんだと言っている人がいるそうです」という発言について、続報を少し。
この発言はどういうことなのか気になっていたのですが、昨日、たまたま中川氏とちょっと話す機会があり、「あれは誰が言っているんですか」と聞いたところ、「記者に言われた。政治生命はオレは3日で安倍さんは1週間だそうだ。本気で言っているのかどうかは分からないが、この法案はそれほどひどいものだから」ということでした。ふうむ、その記者が冗談で言ったことを、中川氏が法案が通れば現実にそういうことが起こりうるという意味で引用したのでしょうか。記者がもし本気だったら…うーん、しかしそれにしても…。


by kakasai
東京を離れて署名してきました…