北海道留寿都村の国際メディアセンターとホテルの往復だけの味気ない缶詰生活を送っています。昨日も一昨日も、夕食にありついたのは午前零時前で、それからビールを浴びるという不健康なことをしています。何かと雑用が多く、コメントへの返事も遅れがちですが、ご勘弁ください。
さて、きょうはちょっと振り返り、まず6日の日米共同記者会見での福田首相の発言を紹介したいと思います。福田氏は、自身の北京五輪開会式出席に関連して、次のように語りました。意訳すると、世界中のメディアに対し、「日本は中国様に人権問題などてものを言えた立場ではない」と宣言したことになります。他の仕事をしていて、記者会見を聞いていなかった同僚記者に話しても「まさか」となかなか信じてもらえなかったほどの馬か鹿かその眷属か、というべき言葉でした。
《中国がですね、色々問題があるということはあったとしても、それはそれで、今努力をして、改善をしている、努力をしている最中だろうと思います。それを私はこれからよく見ていきたいと思っております。わが国もですね、過去において、いろいろな経験をしてまいりました。他の国から、アメリカからもそうですけれども、批判をされたような行動もありました。そういう現実をですね、経験して、今に至ったわけでありまして、そんな偉そうなことをですね、言える立場なのかなということは謙虚にいつも、反省をしながら日々政治に活動しているということであります。
私は中国が混乱してほしいと、決して思わないし、中国国民が不幸になってほしいということも全然考えておりません。わが国の隣人ですからね。隣人が健全で、そして明るい、そういう国になってほしいということはかねがね思っているわけであります。そういう気持ちも込めて、開会式に出席してまいりたいと思っております。》
…さりげなく、ごく自然に日本を貶め、同時にチベットやウイグル弾圧・圧政で世界から批判されている中国をかばっています。繰り返しますが、私はいま北海道に来ていて、この愚か、というも愚かな首相のやること言うことを記事にしなくてはならないのですが、本当に苦痛です。正直、目をそらして見なかったことにしたいぐらいです。福田氏は、全世界に対し、日本は中国に注文をつけられるような民主国家ではないし、またその気もありませんと堂々と宣言したわけです。吐き気すらします(二日酔いで)。
さて、次に紹介するのは、新聞に載せようと書いたものの、紙面が空いてなくてネットでの配信だけとなった記事です。サミットの場で、なんで中国に由来する行事を各国首脳に強要するのか理由は分かりませんが、それはともかく、福田氏はいつものように「温故創新」という言葉をしたためました。でも、この造語をそんなに何度も得意げに遣うのはどうかと思うのです。
《【洞爺湖サミット】福田首相、七夕飾りに「温故創新」 羽田元首相の座右の銘…
福田康夫首相は7日夜、北海道洞爺湖サミットの会場であるホテルのロビーで、G8(主要8カ国)各国の首脳とその夫人とともに、七夕短冊に願いごとを書き込んだ。福田首相が短冊に記したのは、「温故創新 人類の叡智に学び未来を拓く」。「温故創新」とは、昨年12月に首相が孔子の故郷、中国山東省の曲阜を訪ねた際に、孔子の「温故知新」をもじって揮毫したのと同じ言葉だ。
ただ、「温故創新」は、かつて民主党の羽田孜元首相が座右の銘としていて、繰り返し遣ってきた言葉でもある。羽田氏は首相時代の平成6年5月の衆院予算委員会でも「私はよく頼まれると下手くそな筆で『温故創新』と字を書きます。古きをたずねてから新しさを積極的につくり出すという言葉です」と述べている。
福田首相がこうした経緯を知っていたかどうかは不明だが、永田町ではかねてから「あれは羽田さんの言葉だ」(ベテラン秘書)という声が上がっていた。
ちなみに、米国のブッシュ大統領は「圧政から自由な世界を望みます」、カナダのハーパー首相は「自由、民主主義、人権、そして法の支配に基づく世界を願います」と書いた。》
…これが「パクリ」に相当するのかどうかはともかく、ここでも中国の言葉をG8首脳に得意げに披露したわけです。彼らは漢字は読めないでしょうが、ああ、やはり日本は中国の影響下にある国なのだと再確認したかもしれません。福田氏が首相を続けると、日一日と日本の国益が失われ、日本の国際的地位・イメージが低下していくのはもはや疑いようがありません。
で、その中国の胡錦濤国家主席が昨晩、来日し、あすは福田氏と会談する運びとなっています。事前取材したところでは「たいした話はしない」(外務省筋)と言いますから、五輪開会式は楽しみだとか何だとか、たぶんどうでもいいことを話すのでしょう。…とここまで書いたところで、昨年6月のドイツ・ハイリゲンダムサミットでのエピソードについて、私が以前書いた記事のことを思い出しました。紙面で読んでくれた方には申し訳ありませんが、再掲します。
《「李氏訪日」に反発 首脳会談中止通告 [ 2007年10月28日
■すり寄らぬ外交奏功 安倍氏一蹴…中国折れ実現
今年6月にドイツで開催された主要国首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)での安倍晋三首相(当時)と中国の胡錦濤国家主席との首脳会談をめぐり、中国側がその直前の台湾の李登輝前総統の訪日を理由に会談を拒否していたことが27日、複数の関係者の証言で分かった。しかし、日本側が譲らず、中国側が全面的に折れるかたちで決着、会談は行われた。こうした安倍政権の“遺産”をどう継承できるかが、今後の対中外交の焦点になりそうだ。
関係者によると、サミット開催に合わせた日中首脳会談は、日中間の戦略的互恵関係の促進や北朝鮮問題などを話し合うため、早い段階で日本側が呼びかけ、中国も応じる構えだった。
ところが、中国側は、5月末になって会談中止を通告してきた。理由は、5月30日の李氏来日だ。中国政府は、28日の日中外相会談で楊潔●外相が麻生太郎外相(当時)に李氏訪日への懸念を表明していた。それにもかかわらず、日本側が李氏の入国に何の制限も加えなかったことを問題視したのだ。
これに対し、日本政府は、「サミット正式参加国は日本だ。招待国の中国と無理して会談することはない」(当時の官邸筋)と会談の提案そのものを引っ込めた。
これにあわてたのが中国だった。すぐに「李氏は日本で講演を予定している。これを(マスコミなどに)完全クローズにするなら安倍氏と会談してもいい」とハードルを下げてきた。
それでも日本側が「会談開催に李氏訪日の件を絡めるならば、会う必要はない」という安倍氏の考えを伝えたところ、中国側は6月3日になって「条件はつけない。ぜひ会談を行いたい」と全面的に譲歩。8日の首脳会談が実現した。
李氏は7日に靖国神社参拝と講演を予定通り行い、講演では、「多くの人々が中国経済の高度成長に惑わされ、危機の存在を否定するが的外れだ」などとも語った。
日本側は「首脳会談で胡主席が、李氏に靖国を参拝させた日本を批判すると予想した」(官邸筋)。だが、胡主席は李氏の靖国参拝にさえ触れなかった。
中国側が強硬姿勢をあっさり転換したことについて、外務省幹部は「それが中国の交渉術」とした上で、「これまで日本は中国の機嫌を損ねることばかりを恐れ、相手の思惑通りに動いていた。しかし、このときは日本がぶれず、譲歩を引き出した」と振り返る。
外交筋は「安倍氏は靖国神社に行くとも行かないとも言わない『あいまい戦術』というかたちで靖国カードを保持していたので、中国も強く出られなかった」と解説する。中国としては、あまり日本を刺激すると安倍氏が反中国の姿勢を鮮明にし、結果的に、安倍氏の靖国参拝を招き、中国国内の暴動や反政府活動を誘発しかねない状況になるのを恐れたというわけだ。
政権交代後の今月11日に北京で開かれた東シナ海のガス田開発に関する局長級協議で、中国側は、改めて強硬姿勢をみせている。
こうした状況から、外務省内には「“親中派”の福田康夫首相に花を持たせる考えはない」との見方も広がり始めた。外交筋は、「福田首相は早々に『靖国には参拝しない』と述べ、靖国カードを手放しており、中国はくみしやすいとみている」と指摘している。(●=簾の广を厂に、兼を虎に)》
…以前、60代の女性と話していたら、「周囲の主婦たちは、首相が安倍さんから福田さんになっても、何も変わらないと思っている」と指摘されました。マスコミはよく、重要なことを国民に知らせないと批判されますし、私もそういう部分はあるとかねがね苦々しくも認めてきましたが、どうやったら、国民に伝えられるのでしょうか。1面トップで書こうがどうしようが、伝わらないものは伝わりません。時間をかけてじわじわ認知してもらうほか思いつかないのですが…。


by hoisassa
東京を離れて署名してきました…