昨日、18日の朝日新聞山梨県版は、来年1月に迫る山梨県知事選に向け、いつもだったら活発に政治活動をやっている山教組の動きが低調であることを報じていました。タイトルはずばり、「山教組、重い腰」。何か、もっと軽快に動けと煽っているような気がしないでもないような…。
腰が重い理由については、前回参院選における(民主党・輿石東参院議員会長のための)選挙資金集めで、県教委から組合員が処分されたことを挙げていました。興味深い記事だったので、ちょっと(おおいに)引用されてもらいます。
《峡北地域の男性小学教諭は最近、自宅の受話器を見るたびに胸をなで下ろす。山本氏の個票(後援会入会カード)集めの動員がまだかからないからだ。
前回知事選で、山教組から課されたノルマは20~30枚。投開票日の3カ月前から、休日返上で親類、知人へ電話をかけ続けた。
選挙終盤には、担任するクラスで個人的に親しい保護者にも声をかけた。公選法で禁じられている「公務員の地位利用」のグレーゾーンと承知の上だった。
男性教諭は「今回は法律の境界線を踏めない。処分覚悟ではやれない」と話す。》
具体的ないいエピソードですね。山教組では、輿石氏に対してだけでなく、県知事選や甲府市長選などでも現職の教員を動員して、さまざまな政治活動をさせ、資金カンパも募ります。教員側の多くは、実際は「本当はいやだけど、やらないとあとが怖いから」といった心境のようです。
朝日の記事は、次のように続けています。
《山教組は県内301公立小中学校の教職員で構成され、組合員約4500人。組織率は全国一の99%以上を誇る。
組合員の教員らは、組織内候補の民主党参院議員、輿石東氏が立った04年参院選で、公務員の立場でありながら選挙資金集めに協力。「山教組問題」として県内外から批判を浴び、現職教員ら14人が今年3月、県教委から教育公務員特例法に触れるとして、停職3カ月の懲戒処分などを受けた。
山教組は11月27日、今回の知事選で山本氏の推薦を組織決定した。しかし、懲戒処分の余波から、坂野修一・山教組副執行委員長の表情は硬い。「法令順守は当然。その上で、地位利用と疑われることもできない」。今回の個票集めの目標は、所属する連合山梨と足並みをそろえ、教職員1人につき5枚に減る見込みだ。》
この「個票」について、私は山梨県内の複数の教員に電話して「現状はどうですか」と聞いてみました。ある教員は「うちの学校にはまだ直接話は降りてきていない。意の通じる者だけを選んでやらせているのかも」と話していました。山教委執行部=輿石氏に批判的な教員がいる学校は外した、ということでしょうか。
また別の教員は、「個票の割り当てはもう流れている。分会長(各学校の組合責任者)がぎりぎりやられている」と証言しました。この教員は、「朝日は親山教組だから、情報が流れているんじゃないか」とも言って笑っていましたが…。朝日の記事はさらにこう分析しています。
《低調な活動の背景に、時期の問題を指摘する声もある。
「輿石先生の改選が近くない。この時期では、知事側に恩を売るにも本気になれない」。山教組と表裏一体の政治団体・県民主教育政治連盟(県政連)の関係者は冷めた口調だ。前回知事選は、輿石氏の参院選を翌年に控えた時期だった。参院選で知事側の支援を受けるため、組織を挙げての協力が必要だったとの見方だ。》
政治信条や信念の問題とは関係なく、単に輿石氏の当選のためだけに教員が振り回されている実態が浮かび上がる指摘です。なるほど。ある教員は私に「今回は、組合員側もそう簡単には動かないだろう。みんな本当はカネも票も出したくない。それで処分までされて、冗談じゃないよという気分がある」と語りました。
そして、記事は次のように締めくくっています。
《動きの鈍さが指摘される山教組。山本氏の最大の対立候補・横内氏が政策で国の教育改革に賛意を示したことから、「教育現場への締め付けが強化されかねず、組合員のやる気に火がついた」(坂野副執行委員長)という声もあり、追い込みに懸命だ。》
私が山梨県政関係者から聞いた話では、横内氏がある集会で「県教育委員会の改革をしなければならない。特定の組織の言いなりではだめだ」と述べたことが輿石氏の耳に入り、山教組執行部に「徹底的に山本を応援しろ」とはっぱをかけたのだとか。この特定の組織が山教組であることは言うまでもありませんね。
それにしても、本来、なんで教職員組合が組織内候補でもない人の選挙運動をしなくてはならないのかといまさらながらに疑問がわき起こります。教育とは、やはり政治的な中立性がたとえタテマエでも必要だと思うからです。
ただ、やはり輿石氏の威令がずいぶんと下落しているのも確かなようです。そりゃそうですよね。自分を支え、選挙運動を実行し、カネまで出した教員が刑事告発されて罰金刑まで受けているのに、自分はのうのうと参院幹事長から参院議員会長へと出世し、まともな反省の言葉すらないのですから。
昨日のエントリで、毎日新聞が全国版で山教組問題について書いたことを取り上げましたが、このように各紙の山梨県版ではきちんと(?)この問題は報じられているのです。山梨県民が現在、輿石氏のことをどう見ているのか気になるところです。


by saxophone
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