今朝の産経朝刊は政治面で、日教組が教育基本法審議に向けて、民主党の参院議員らに想定問答集を配布し、質疑に活用するよう呼びかけていたことを報じています。というか、私が例よって国会議員会館をうろうろしていて見つけ、書いたものです。教職員組合が、いかに政治的な動きをしているかがよく分かりますね。
《日教組、あの手この手 教育基本法審議で想定問答集
日本教職員組合(日教組)が11月下旬、民主党の参院議員らに、教育基本法改正案審議に向けた想定問答集を配布し、質疑での活用を呼びかけていたことが25日、分かった。問答集は日教組の森越康雄委員長の名前で出され、34ページ。日教組の政治団体、日本民主教育政治連盟(会長・輿石東民主党参院議員会長)所属の議員のほか、「協力関係にある議員に配った」(日教組)という。
問答集では、例えば、旧教育基本法の「教育は国民全体に対して直接責任を負って行われる」という条文に関し、質問案に「『直接責任』条項をなくした理由は何か」とある。これを参考にしたのか、民主党の下田敦子氏が11月28日の特別委員会で「条項をなくした理由をまずうかがいたい」と質問。同じく神本美恵子氏(元福岡県教組女性部長)も12月5日に同じ趣旨で追及した。
日教組は、「議員それぞれのお考えがある。(問答集を)活用した議員もそうでない人もいる」と説明。日教組が質問議員に質問内容を押しつけたのか、逆に議員があまりにも不勉強なので、日教組が手助けしたのか、その経緯は不明だが、いずれにしても、改正教育基本法は日教組にとって、かなり都合が悪い法律だったことがよく分かるエピソードだ。》
紙面に載った記事からははみ出てしまいましたが、私はデスクの手直しが入る前の原稿で《また、質問案には教育基本法16条にある「不当な支配」の文言について「『不当な支配』として排除される可能性があるものは具体的に何が想定されるか」とある。
これに関しては、やはり民主党の佐藤泰介氏(元愛知県教組委員長)が11月22日の質疑で「(排除される)特定の団体とはどんなことを想定しているか」と繰り返しただしていた。》とも書きました。
この記事に書いた通り、問答集を配った対象は「日本民主教育政治連盟」(日政連)に所属する議員(参院には8人います)や、教育基本法改正に反対する活動で、日教組に協力していた議員らだそうです。日教組に電話して何人に配布したのか聞いたのですが、その点は教えてくれませんでした。
実際のところ、議員たちがこの問答集をどこまで利用したのか分かりませんが、日教組自身が「活用した人もいる」と認めているのですから、国会質問のタネ本になったのは間違いないでしょう。日教組には、「そこを知りたければ国会速記録を読め」と言われました。仕方がないのでかいつまんで議事録を読みましたが、確かにいくつか日教組の質問案と類似した質問がありました。でも、記録全部を精査するのは大変なので…。
でもねえ、政府主催のタウンミーティングのやらせ質問をあれほど口を極めて罵っていた人たちが、一部とはいえ、日教組の質問案に沿って質問していたとするとどうでしょうか。これも日教組によるやらせ質問だとは言えないでしょうか。まさか謝礼は払っていないでしょうが。
この疑問を日教組に問いただしてみたところ、「やらせというのは高位のものが下位の者にさせるもので、日教組と国会議員は対等ではあるかもしれないが、そんな拘束力はない」とのことでした。ふーん、なるほどね。聞き置きます。
で、この問答集は12章構成で34ページもあるので、とても全部は紹介できませんが、第10章はまさに「タウンミーティングでの『やらせ発言』に関して」というタイトルでした。質問案は次の通りです。
《(問)政府は、タウンミーティングで国民の声を聞いてきたと説明してきたが、内閣府の調査によって、政府の振り付けによるヤラセであることが発覚した。子どもたちが絶対に手本にしてはいけないことを、あろうことか政府が行ってしまったのである。とりわけ案分を作成した文部科学省の責任は重大である。タウンミーティングとは名ばかりの政府による世論統制が行われていたのである。
広く国民の声を聞くことは立法府である国会で行うべきであり、タウンミーティングが果たした以上、国会において全国各地での公聴会を行うべきである。したがって、拙速な審議や、まして議論も尽くされていないのに、あわてて採択などということになれば、教育の権威は地に堕ちるであろう。伊吹大臣の見解を問う。
(問)教育基本法改正に関する世論調査(資料、地方紙社説、アンケート等)では、「今国会での成立にこだわらず、慎重に十分に審議をするべきであるとの意識が多数を占めている。広く国民の声を聞くということは、世論の状況も見極めることが必要なのではないか。
◇慎重審議に関して
この間の世論調査は、改正に賛成でも「今国会にこだわらず、慎重に十分議論を尽くすべきだ」という意見が高い割合を占めている。そのことをどう考えるか。国民的論議についての具体的な方法をどのように考えているのか。あらためて、タウンミーティングのやり直しを含め、国民の意見を聞く場(公聴会など)を開催することを考えるべきではないか。》
懇切丁寧ですね。よく言うよ、というか。特に日教組が改正を嫌がっていた教育基本法16条「教育行政」については、質問案が12例も並んでいました。教育現場を「不当に支配」しているのはだれか、行政なのか組合なのか、などという点です。これについてもちょっと紹介します。
《◇現行の教育基本法10条は、「教育は国民全体に対して直接責任を負って行われる」と直接責任条項を謳っている。これが改正案にはない。この「直接責任」は国民側から言えば、「住民による学校教育へのコントロール」を基礎づけるものである。この「直接責任」条項をなくした理由は何か。
◇政府案は、現行法10条1項の「国民全体に対し直接に責任を負って行われるべき」との文言を削除し、「この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべき」との文言を盛り込むことで、国会という国家的意思によって教育の内容が定められることを認めることになる。「不当な支配」として排除される可能性があるものは具体的に何が想定されるのか。
◇最高裁判決(1976年5月21日、旭川学テ)が、法令に基づく教育行政機関の行為にも教育に対する「不当な支配」の適用があると判断したが、司法の判断と立法府の法律とに乖離が生ずることになるが如何に。》
確かに、国会審議中もどこかで聞いたことがあるような内容です。まあ、議員と日教組の問題意識がたまたま同じだったから質問が似たということも考えられますがから、決めつけるのはよくないでしょうが。
このほか、問答集は「『改正』理由について」「『改正』手続きについて」「教育基本法の性格 憲法、国際条約、『児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)』との整合性について」「国内法との整合性について」「前文について」「条文について」…と微に入り細をうがち論点を整理し、質問案を記しています。ご苦労なことです。
日教組は、この22日に出した「『改正』教育基本法成立に関する日教組中央執行委員会見解」の中で、次のように書いています。
《日教組及び各単組では、教育基本法問題を広く訴えるため意見広告、ポスター掲示、ラジオCM等の広報活動や全国キャラバン行動、集会、全戸ビラ配布行動など、教育基本法改悪反対のとりくみが継続・強化された。各地のキャラバン行動は地元新聞でも取り上げられるなど世論を盛り上げる効果をもたらした。また、衆議院段階では全国から結集した組合員による国会前座り込み行動で「政府法案」の廃案を訴えた。》
《日教組は、中央・地方における諸集会を開催し、職員要請行動、国会請願行動など、日政連議員と連携して院内外の一体的とりくみを展開してきた。(中略)10月26日に「非常事態宣言」を発するとともに、組織の総力をあげ「教育基本法改革(※悪の誤字か?)阻止!『政府法案』の廃案」のとりくみを強化した。この間、開催した緊急中央行動には、全国からのべ8万人組合員が結集した。》
この際、本来の崇高な仕事である教育に専念するため、日教組には解体されることを、日政連議員には辞職されることをお勧めします。
※追伸(12月27日午後8時)
日教組が11月9日付で、「内閣府タウンミーティングにおける世論操作に対する抗議声明」という文を出していたのを今、見つけました。そこには「国民の声を聴き、国民の要求を実現していくことが、『政治』であるのに、その国民の『声』『要求』をある一定の方向に操作するなどということは、民主主義社会においてあってはいけないことである」と書いてありました…。


by saxophone
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